TOP » ビジネスLOHAS » 企業研究

2005年09月01日

3年たって、LOHASが知られるようになったわけ

LOHASブーム到来

「ローハスっていいね」「最近はすっかりヨガに通ったり、自然食を摂るようになったわ」「女性誌でもLOHASの特集してましたね。」こんな会話が若い女性の間でも聞かれるようになった。
そして、6月22日に発表された、恒例の「2005年上期ヒット商品番付」(日系流通新聞)の、“西の大関に”「LOHAS」が取り上げられた。2002年夏に筆者が「日経新聞」や「日経エコロジー」にてLOHASを日本に紹介して3年、様々な人々の想いと活動によって、国内でもトレンドとなったのだ。今回は、その経緯をふりかえってみたい。

そもそもLOHASとはどのようなものか

1990年代の後半に、アメリカの田舎コロラド州界隈で生まれた新しいライフスタイルで、 Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとって、「ローハス」と呼ばれている。健康や環境に配慮したライフスタイルのこと。LOHASな人々は、単に環境に配慮するだけでなく、家族や地球の健康、さらには社会の将来にまで関心を持っている。社会正義、自然資源の保全、自己開発(personal development)、身体・マインド・精神・地球のウエルネスに関心を持つ。こうした価値観に基づいてブランドを選考し消費行動を行うのが特徴。ニューエイジとは一線を画している。調査によればアメリカ人の30%はLOHAS層という結果が出ている。

メディアがムーブメントを作っていった

2002年6月19~21日、アメリカ、コロラド州ブルームフィールド(デンバー郊外)で開かれた、LOHAS関係者が一同に会する「ナチュラルビジネス・マーケットトレンド・カンファレンス」(第6回)に私が日本人として始めて参加し、その会議やLOHASについて、その後複数のメディアで紹介したことが始まりではあったが、その後、当時私が在籍していた環境コンサルティング会社「イースクエア」社が2002年10月、実際にLOHASの仕掛け人を日本に呼び、シンポジウムを開いたこと。そして、それから数ヶ月後に雑誌「SOTOKOTO」が特集を組み、2004年4月からJ-WAVEが「LOHASモーニング」という番組を始めたことが大きかった。その影響で、LOHAS的なライフスタイルを推奨する非営利の団体も国内にいくつか誕生した。
コンセプトを日本に紹介して3年、メディアの力を借りて、一部の人々の間で実践されるようになっていた環境志向のライフスタイルが顕在化したのだ。

数年前から、これも仕掛け人は「「SOTOKOTO」だが、スローフードやスローライフが流行り、エコライフの素地はできつつあった。そこに、ヨガブームやマクロビオテック(スローフードも含めた自然食、有機野菜など)、「SOTOKOTO」の坂本龍一さんなどの象徴的な存在で、エコ関係の商品やサービス、ショップ、ライフスタイルが「LOHAS」というキーワードでオシャレさを出すことに成功した。「SOTOKOTO」が丸ビル内にオープンした「ソトコトLOHASキッチン&バー」カフェ&ショップも、LOHASグッズの具体的なプレゼンテーションとなった。一般女性誌にもLOHAS特集が組まれるようになっており、オシャレなちょっとエコといったイメージで流行したと見ている。

まずはヨガ。そして、オーガニックフードを始め、環境に配慮した家具や、衣料品などライフスタイル全般にわたって、おしゃれなエコ関連のものがポピュラーになった。

日本のLOHASI口は29%

アメリカもそうだが、LOHASライフスタイルを支える商品・サービスを提供する企業は個人が起業した小規模なメーカーや、個人に近いものが多いが、発祥の地、アメリカでは自然食品店やエコライフ関連グッズを紹介するショッピングサイト「GAIAM」を始め数百億円の企業が育っている。
イースクエアは、2002年10月のシンポジウム開催以来、同社の取引先である多くの国内大手企業に対して、「LOHAS」を紹介し続けており、今年リクルートが発行した「アイコ」という雑誌もその流れにあるなど、企業の取り組みを推進する上で大きな役割を果たしている。

今年2月にはイースクエアが国内で消費者調査を行い、日本人の29%がLOHAS層であることが明らかになった。これはアメリカとほぼ同じような割合である。環境・健康、社会的な問題、自己啓発や精神性の向上に関心が高く、行動する人々で、購買意欲が高いことも特徴。ブランドイメージを重視する一方、価格に対するこだわりは薄い。学歴や年収も高い。また、気に入った商品を家族や友人に勧めるなど情報発信力も高い。こうしたLOHAS層の存在が明らかになったことから、日本の大手企業もLOHAS層をターゲットとした商品開発をさらに進めることは必至だ。

これからは精神世界への関心が高まる

NPO「ローハスクラブ」が六本木ヒルズで開催している「LOHAS Academy」が人気を集めているように、LOHAS的な生き方を支援する資格取得講座や、右脳開発(宇宙エネルギーを体内にとりこみ、潜在意識のパワーを発揮する。宇宙の回路にチャンネルを合わせるチャネリングなど)の人気が出ると見ている。ホーリスティック医療も注目だ。


(JKSKコラム「世の中を変えるのはあなただ」2005年8月掲載)

Writing: owadajunko

↑ページの先頭へ

関連書籍・メディア

お問い合わせ

企業・個人からの個別相談・コンサルティングを承っています。お問い合わせは下記フォームからお願いいたします。


ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」