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2006年05月28日

「レスター・ブラウンさんと共に2025年を考える」に参加 (5/26) 

-サステナブルな社会の創造に向けて300人が共に考えました-

画期的な講演会が5月26日に開かれました。タイトルは「レスター・ブラウンと共に2025年を考える会」。
主催は五井平和財団。共催はNPOフューチャー500と、イースクエア。
東京FMの300人収容の会場は、20代から60代まで、男女半々位の参加者で満席でした。

プログラムは、主催者挨拶に次いでレスターさんのスピーチ、次いでイースクエアの社長
ピーター・ピーダーセン氏による質問コーナー、メインイベントは参加者300人全員参加のワークショップ、
そしてその結果をレスターさんがコメントするという構成でした。

<2025年の世界>

20世紀の後半は「膨張の半世紀」で、世界経済の総生産は7倍、水の使用量は3倍、
漁獲量は5倍、二酸化炭素の排出量は4倍意向、二酸化炭素濃度も平均気温も上がったといいます。
これら世界の需要の膨張が、地球の自然システムの持続可能性への脅威となっているのです。
(「フード・セキュリティ」より)

 ・ 水不足:アメリカ、インド、中国で地下水位が加速度的に低下している。
 ・ 土壌の浸食:13㎝の表土が流出すると文明は維持できなくなる。
 ・ 気候変動:現状のまま推移すれば今世紀中に1.4~5.8℃の幅で上昇。
 →食糧危機が起きる。人口が増え、消費が増え、水不足や気候変動で食糧不足と食糧価格の高騰
   が近い将来起きる。

2025年、世界はどんな状況になっているのでしょうか?
人口は79億人(2000年60億人+19億人)、CO2排出量は2020年で20億トン(2000年15億トンの33%増)。
エネルギーでは、2017年にカリフォルニア州の再生可能エネルギーが全電力の20%、
2025年にはドイツやベルギーが原発を廃止していると予測されています。
 
<解決策 プランB>

これらの深刻な問題に対する解決策、それがレスターさんが提唱している「プランB」です。
使い捨ての経済に代わって、再生エネルギーや再利用の経済・システムを構築すること、
それが解決の方法です。

最近の石油価格の高騰は警鐘だといいます。1バレル60ドル以上になると穀物は車の燃料に
回ってしまうのだそうです。車の燃料?実は、この1年半で穀物からエタノールを作る工場は
アメリカで100カ所以上つくられているそうで、今や多くの穀物が人の食糧ではなく、
車を走らせる燃料となってしまっているのです。

「作物の収量を減らすような高温を回避することは、すみやかに気候を安定化させることに他ならない。
 “プランB”では、その為に2015年までに炭素の排出量を「半減」することを提案している。
 これは、最近の複数の研究が示しているように、実行可能なことである。
 温暖化によって世界規模で作物収量が減少すれば、石油や石炭から天然ガスや風力発電や水素への
 エネルギー源のシフトが一気に求められるであろう。わかり易い例で、白熱灯から小型蛍光灯に
 世界規模でシフトするならば、数百の石炭火力発電所が不要になる。
 飲料業界が詰替のできないアルミ缶からビンへと容器シフトをすれば、エネルギー使用量は
 最大で90%まで削減できる。

 アメリカのドライバーが従来の内燃エンジンから、トヨタのプリウスやホンダのインサイトといった
 ハイブリッドエンジンへシフトすれば、ガソリンの使用量は半減する。
 つまるところ、炭素排出量の半減は技術面での障害があるわけではなく、むしろ政治の意思として
 これを実現させる、リーダーシップが欠けているのである。
 人口の安定化も水利用効率の改善も気候の安定化も、その実現の早さが問題になる。
 炭素型経済から水素型経済へのシフトを速やかに実現する鍵は、化石燃料の価格に気候変動が
 もたらすコストを内在化させることである。そのコストは温暖化がもたらす作物の減収、
 暴風雨の破壊力の増大、海面上昇などである。いまの市場には、そうした社会的コストと生態的コストが
 反映されていない。いま必要なのは生態学的真実を示す市場である。」(「プランB」より)

<全員参加のワークショップ>

ワークショップは、全員参加でした。配られた2枚のポストイットに、ビジョンと行動を記入し
壇上につくられた大きなロードマップにスタッフが貼っていきます。
ビジョンは、「持続可能な世界を実現するために、政治・経済・ビジネス・教育・文化・科学など、
私たちを取り巻く社会の各分野で、起きなければならない変化、またこうあってほしいことなど、
希望や展望」を記入。
行動は、「ライフスタイル・仕事・家庭・学習・研究・地域活動・ボランティアなど、日常生活や
社会活動の中で、自分ができること、やりたいこと」を記入します。

2010年位のところのビジョンや行動を各人が多かったのですが、
ビジョンでは、2010年に「江戸文化の現代版」、2015年「人と人とのつながり」、
2020年「ガソリンで走る車廃止」、「人と生物の共存」、
2025年「再生可能エネルギー100%」、「足を知る世界」など。

行動では、2010年「政治家を変える」「シンプル&クオリティライフ」、
2015年「新しい農業を行う」、
2020年「環境を考えることが常識に」、2025年「サステナブルな街ができる」などが
キーワードとしてまとめられました。

P1011601.JPG

なお、全員、ポストイットをスタッフに手渡した後、壇上に上がってレスターさんと握手をしました。
最後に「皆さんがレスターさんとした握手は、皆さんそれぞれが自ら書いたビジョンや行動を、
レスターさんと約束したコミットメントにしませんか?」とピーターさんからの提案が。
全員拍手での幕となりました。


<参考図書>
「フードセキュリティ」 レスター・ブラウン著
フード・セキュリティー―だれが世界を養うのか

プランB―エコ・エコノミーをめざして
レスター・ブラウン著
ecoeconomy_cover33.jpg

「気候変動 +2℃」 山本良一監修
気候変動 +2℃
地球が温暖化していく様子がシミュレーション画像で見ることができます。
どんどん赤くなっていっています。が、様々な解決策も提示。
カラー写真豊富でとてもわかりやすい一冊です。

Writing: owadajunko

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