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2006年11月08日

社会意識・価値感にフォーカスした指標SVI(社会的価値インデックス)が誕生

LOHASが誕生するきっかけになったポール・レイ博士の「カルチュアル・クリエイティブ」ですが、その層の価値感の特徴として、「エコロジーや地球環境、人間関係、平和、社会正義、自己実現そして自己表現に深い関心を寄せる人たち」としています。

LOHASの本質を理解しょうとするとき、単に字面で“健康と環境に配慮したライフスタイル”と捉えるのは不十分です。最も重要な価値感は、社会的意識、自己表現といった側面なのです。

例えば、同書に出てくるカルチュアル・クリエイティブの有名人というページには、政治家トニー・ブレア、宗教家ダライ・ラマ、音楽家ヨーヨー・マ、科学者ケン・ウイルバー、小説家アーサー・C・クラーク、映画監督ジョージ・ルーカス、そしてビジネスパーソンとしてアニータ・ロディックの名前が挙がっています。

このアニータ・ロディックは、英国の化粧品会社ザ・ボディショップの創業者です。1976年に一軒の自然派化粧品のお店を英国の南端、海岸沿いの小さな町ブライトンに開いたことから、その歴史は始まりますが、最初から健康や環境に配慮したビジネスをしていたわけではありません。
むしろ、それまでの化粧品が人工的な原料を使っていたことに対し、世界中の民族が地域の身近な植物を使ってスキンケアをしていることに着目したのです。

広告を行わなかったのは、従来の化粧品会社の広告が男性の価値感によって、男性が考える美しさの基準を押し付けている、そうではなくて一人ひとりに個別の美しさというものがあると考えたからです。

化粧品の動物実験に反対し、やめさせようとキャンペーンを行ったのは、化粧品の分野では長年使われて安全性が実証されている原料が沢山あり、それを組み合わせれば、色々な化粧品を作ることができる。わざわざ、動物を犠牲にすることはない、という考え方からでした。

また、化粧品やシャンプーの詰め替えを行ったのは、使える容器を捨てるのはもったいないと思ったからです。

そうして、生活者として当たり前と思うことを実践して、商品の支持者を増やしていったのです。
ボディショップが環境や社会問題をテーマにしたキャンペーンを始めたのは創業して10年以上経ってからでした。最初は酸性雨をテーマに、その後化粧品の動物実験反対、ナイジェリアのオゴニ族を救え、AIDS、リサイクル、家庭内暴力などをテーマに、全世界のボディショップで共通のテーマでキャンペーンを行うようになりました。

私は日本のボディショップで7年コミュニケーション関連の仕事をしていましたから、アニータとも直接会議等でご一緒しましたし、社会問題等のキャンペーンを通じて、その考えを行動に移すということを実践していたわけです。常々、アニータは「世の中を変えるのは私たち一人ひとりだし、企業は社会を変革する力を持っている。ボディショップのミッション(使命)は、事業を通じて社会変革すること」と言っていました。そして、キャンペーンに際しては、Think、Act、Changeを合言葉にしていました。
世の中の問題について知り・考え、改善のために行動し、そして世の中を良い方向に変えていこうというものです。

そんなわけで、LOHASの原点となっているカルチュアル・クリエイティブ層の価値感として、社会意識であるとか、アドボカシーとった観点が実は重要な要素となるわけです。ですので、私がLOHAS層の意識や行動について説明をする際には、環境や健康意識以上に、社会的課題に対しての関心や行動について重点を置くようにしているのです。

社会意識、言い換えれば“世の中を変えるのは私たち一人ひとり”という意識を持ち、問題解決のために
積極的に行動する人は日本にどれくらいいるんだろう、その人たちを増やすにはどうしたらいいんだろう、
この問いは私にとっては15年以上、心の底で最も気になっているテーマでした。

ーーーーーここから、調査の話ですーーーーーーーーーー

ずいぶんと、前置きが長くなりました。

そんな時に出会ったのが、㈱インテージという調査会社が開発を進めていた新しい指標SVI(社会的価値インデックス)でした。人々を社会性と積極性を軸に9つにタイプ分けし、それぞれの特徴や生活行動
(消費行動も)を明らかにしようというものでした。社会性が高いとは、“世の中を変えるのは私たち一人ひとり”という意識であり、積極性が高いとはポジティブ志向であるというものです。
調査の結果、社会性・積極性共に最も高い層を“自立層”と名づけました。対極は“依存層”です。

興味深いことに、年収で見ると自立層が最も高く、依存層が最も低いという結果になっています。
2006年3月に行われた第一回目の調査では、タイプ別に環境意識・行動等も調べています。
2006年3月の調査は20~50代の5000人を対象にインターネットで行われました。
(詳しくは後日レポートを作成しダウンロードできるようする予定です。)

自立層そして、社交層(積極性が高く、社会性もまあ高い層)が注目です。
この二つの層は、環境問題にも関心が高く、情報発信にも積極的です。また、仕事と家庭のバランスを図るといった“ワーク・ライフ・バランス”に重きを置いている点も注目です。

この調査の活用方法として、自社のステークホルダーのタイプを明らかにし、タイプ別に共感と支持を得るコミュニケーション方法が明らかになるなど、以下の3つがまず考えられます。

1.自社の顧客のタイプを知る

→その結果、世の中のタイプ別分布と比べて、その層が多いか少ないか、自社の顧客のタイプを知ることができます。そして、どの層がどんなコミュニケーションを好むのか明らかにすることができます。
自分の好き嫌いではなく、顧客のタイプに合わせたコミュニケーション活動の実施が可能になります。

2.競合他社とのイメージポジショニングを知る

→5000人を対象とした調査は定期的(次回は2006年11月下旬、来年以降年1回)に行われ、オプションの質問を追加することができますので、同業他社とのイメージポジショニングや、どの会社がどの層に支持されているのか支持層を明らかにすることもできるわけです。
自社のブランディングの方向性、軌道の修正が可能となります。

3.自社の従業員・取引先のタイプを知る

→さらに、自社の従業員や取引先の経営者のタイプを知ることで、顧客と従業員の比較を行うことが可能になります。顧客と似ていれば問題はありませんが、タイプの構成がずれていると顧客の期待に応える活動を行うことが難しくなっていくと考えられます。ギャップを埋めるには、従業員の研修などが有効たと思います。


11月に実施される第二回調査では、LOHAS志向についても調査されるとのことです。
どの層が、どんなLOHAS的行動をしているのか結果が楽しみです。

※SVIに関するお問い合わせ、ご質問は、㈱インテージ ソーシャルシステム部 電話03-5294-8305
または、shakai@intage.co.jp まで。
活用方法など、私にメールj-frog@s2.ocv.ne.jpをいただいても、わかる範囲でお返事いたします。

Writing: owadajunko

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