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2006年12月30日
年中行事の顔見世 「第18回京風ロハスな暮らし」1(2/25)
京都在住のジャーナリスト、木下明美さんから今年最後のエッセイが届きました。
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京の年中行事である南座の吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎は、明日26日が千秋楽です。歳末の吉例顔見世興行は戦中も一度も絶えることなく続けられたと言います。今年は十八代目中村勘三郎襲名披露でした。
京都のひとは年末になると「もう顔見世に行かはりましたか?」「へえ、明日行かしてもらいます」とか「もう行って来ましたんや」とか、顔見世がお天気の話題のごとく取り交わされます。普段は南座に行かないひとも、顔見世には絶対に行くというひとが京都では多いのです。ですから顔見世の切符を手に入れるのは至難の業ということなのです。
そこに目を付けたのが、京都中央信用金庫の「南座観劇券購入積金」という商品。1口につき1枚の観劇券の購入を斡旋してもらえます。京風な商法に苦笑しながらも、切符入手の手間が省けてありがたいので私もここ数年利用して2口(1口3万円)=2枚ゲットして夫婦揃って一等席で観劇しています。
また着てゆくものは何がいいか思案するのも顔見世の楽しみの一つです。夫婦で連れ立って行くので普段よりも少し華やいだ小紋を着ます。昨年は確か京染めの紅型でした。顔見世のシーズンには呉服関係の協賛蔵ざらえセールもあって、これもうれしいことです。
顔見世に間に合うように仕立てますということで購入した四条河原町角の「ゑり善」の名古屋九寸の源氏香の帯に、江戸小紋の「ウロコ」を合わせました。勘三郎の襲名「娘道成寺」のウロコに因んだ柄ですねって、着物通の方に言われましたが、たまたまに過ぎませんでしたのに!
とてもいい席にあたり、花道の右横12列!若い10人衆のウロコの衣装を堪能しました。勘三郎がキレイと皆さん仰っておられましたが、夜の部の踊りの娘道成寺は本当に綺麗でした!
いつになっても年中行事の顔見世は京都のひとの生活には欠かせないのです。
Writing: owadajunko