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2007年02月22日

漢方ベースのホリスティック美容サロン&ショップ 「red white & pure」(シンガポール)オープン

シンガポールから新しいショップがオープンしたというニュースが入ってきました。昨年12月にオープンしたばかりの、シンガポール最大のショッピングモール「ビボシティ」にできた「red white & pure」という漢方ベースの施設です。店名の由来は、パッションを表す「レッド」、対照的に落ち着いた状態を表す「ホワイト」、そして誠実さを表す「ピュア」が組み合わさり、バランスのとれた、オーセンティックでサステイナブルな生活を意味しているそうです。1000㎡に、レストラン、サロン、ショップ、ヨガスタジオなどが配されています。洗練されたニューショップは地元のメディアで大変な話題になっています。

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開発責任者の安田利雄さんにインタビューしました。安田さんとは、ボディショップ時代からのご縁で、10年ほど前のことですが、安田さんがボディショップアジアの責任者、そして私が日本のマーケティング責任者で仕事をご一緒させていただきました。

大和田)コンセプトとそれが生まれた時代背景を教えてください

安田)スキンケアやビューティのハイテク化はウエルビーイングの世界にも押し寄せてきています。マーケティング上のギミックやプロパガンダをもとに、安全性の不確かなサービスや製品を提供し続けるような業界が成長するという現実には慄然とさせられます。
皮膚科の医師や化学の権威が束になっても未だに薬草の持つ力を超えることなど出来ないというのが現実で、隘路に迷い込んだ科学技術の進歩には大きな疑問符がついていると言えましょう。
私たちは、インスタントな問題解決ではなく、体と心のリズムを重視した本質的かつ持続的なソリューションの提供こそ必要とされているものだと考えています。

永年にわたって汚染に侵され、避けられないストレスの下で生活している現代人・・・健康で豊かなライフスタイルを実現し、維持していただくために私たちが出来ることは何か、と考えた結果、ディトックス、ディストレス、ウエイトケア、及びスキンケアを4つの柱にしました。

これらのソリューションを提供するために私たちが行ったのは、漢方クリニック、スパ、小売店、レストラン、それにヨガスタジオを一つの屋根の下に配し、ユニークでホリスティックなアプローチを採ることです。また健康維持のために我慢を強いるようなやり方ではなく、楽しく、美味しく、ラグジュアリーな体験を提供することを第一に考えています。

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大和田)どのような人を顧客として想定しているのですか?

安田)最近 「カルチャル・クリエイティブス」として 認知されるようになった層を主な顧客と想定しています。また、漢方になじみの無いお客様を開拓したいと思っています。一般的なマーケティング手法には意味を見いだせず、年齢や年収などを基にした客層分析には興味がありません。


大和田)施設の概要を教えてください。

安田)2層、約1000平米の店舗に、(1階)食品の小売店鋪とレストラン、(2階)パーソナルケアの小売店、ヨガ・スタジオ、漢方クリニック及びスパがあります。それぞれご説明いたしましょう。

レストラン:
漢方ハーバリストと栄養士、それにスパ・キュイジーヌの有名シェフが集まってコンセプトを練り上げました。それに加えて、フランス文化省のキッチン(パレ・ロワイアル)やベルギー王室のプライベートシェフを経てハリウッドのセレブのプライベートシェフとして活躍してきた有力シェフを招聘して、他に例を見ないユニークな料理の数々を提供しています。基本はフランス料理のプレゼンテーションですが、それと気づかないほど洗練された方法で漢方の薬草を取り込み、ほとんどオイルを使わないとか揚げ物がないなどスパ・キュイジーヌ独特の健康的な調理方法を用いています。それぞれの料理にはディトックス、ディストレス、ウエイトケア、それにスキンケアのどれにどのような効用があるのか示されており、目的別に料理を選んでいただけます。

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小売店舗:
食品は、ニュージーランド産のマヌカ・ハニー、内堀醸造のデザート・ビネガー、余仁生の中国茶、選び抜いた世界のミネラルウオーター、漢方ハーブを取込んでベルギー人ショコラティエが手作りした高級チョコレートなど。
パーソナルケア製品は、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカ、ドイツなどから集めた高級ナチュラル化粧品やルームフレグランスなど。それに 余仁生のパッケージ漢方製品を販売しています。
ブランドやメーカーの選定にあたっては、誠実なもの作りをしていること、自然原料を最大限活用していること、高品質であること、などを基準にしています。

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漢方クリニック及びスパ:
顧客サービス担当者がお客様の悩みにじっくり耳を傾け、問題をよく理解した上で漢方クリニックにご案内するか、スパにご案内するか決めます。両者は(針を使うかエッセンシャル・オイルを使うかというような)アプローチに違いはあるものの、中国医学が重視するメリディアン・ポイント(つぼ)を通じて体が本来持っている自然治癒力を最大化することを通じて、ディトックス、ディストレス、ウエイトケア、及びスキンケアのソリューションを提供します。
ウエイトケアは一般的なスリミングとは一線を画すもので、針による施術と漢方を組み合わせ、じっくり時間をかけて無理なく理想の体重を維持させるものです。

ヨガ・スタジオ:
ハタ・ヨガの小規模クラス(定員8名)を定期的に開催しています。また必要に応じてワン・トゥ・ワンのクラスも開催します。


大和田)今回のショップはモデル店舗だと思いますが、今後日本や欧米にも進出のご計画があるのではないでしょうか?

安田)はい、そうなんです。シンガポール内で多店舗展開することは考えていません。日本や西欧諸国などの先進国で且つ漢方になじみの薄いマーケットを開拓したいと思っています。シンガポール店は、そのためのパイロット店です。

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同店を運営するのはシンガポールの漢方薬製造販売の最大手、余仁生(Yu Yan Sang、上場、年商140億円)。
日本でも漢方ベースのショップやカフェなど新業態ができていますが、本場の本格化「red white & pure」。ぜひ参考にしてみてください。

※「red white & pure」 #02-141 VivoCity 1 Harbourfront Walk Singapore

Writing: owadajunko

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