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2007年04月01日

ファスト風土と格差社会の因果関係を読み解く『下流同盟』三浦展さん著

最近関心を持っているテーマの一つが、商業施設や地域開発です。

例えば、郊外の”画一化されたまちづくり”
郊外都市にはショッピングセンターができ、駅前はシャッター街になっている。

このテーマについて関心をもったきっかけになったのが、三浦展さんの『下流同盟』という本でした。

三浦さんは、一昨年のベストセラー『下流社会』をお読みになった方も多いと思いますが、実は2004年に『ファスト風土化する日本』という本を出されています。ファーストフードの転用で”ファスト風土”です。
  
アメリカでウオルマートに代表されるような大型のショッピングセンターが郊外にでき、近隣にファストフードショップや全国チェーンの大型店がどんどんできて突然大量消費社会が出現する。
元々街にあった固有の商店街、コミュニティが崩壊していく。同じ構図が日本でも起きていると、指摘しています。

特にウオルマートが進出すると、その地域の最低賃金がさらに下がり、下流層が生まれ、階層化が進む。
 ファスト風土 → 階層化
この構図でもアメリカと日本は同盟関係にあると。

日本も地方は今や全国一律の「ファスト風土」的大衆消費社会で、このファスト風土化が、昔からのコミュニティや街並みを崩壊させ人々の生活、家族のあり方、人間関係までも変質させてしまったという分析&警鐘です。
 
【下流同盟 (朝日新書) 三浦展】

下流同盟―格差社会とファスト風土
三浦 展
朝日新聞社 (2006/12)

じゃあどうすればいいの?という問いへの回答も同書にありますが、多いに感化された私は、まずは家の近くのショッピングセンター小田急電鉄の「成城コルティ」を取材してきました。
(記事は4月号の「日経エコロジー」に掲載されています。)

計画段階から住民などステークホルダーが参加し、建物は環境や景観に配慮し、出店テナントは担当者が全国を歩いて厳選。
地域住民の方からニーズの高かった書店、子供関連サービス施設、健康に配慮したレストランなど。
レストランと言えば、親子三世代で誕生会などを行う個室も多めに設置したそうです。

そして、LOHAS発祥の地、ボールダーの地域開発や商業施設の今後を考える上で大きな示唆を与えてくれます。4月に再度訪問し、話しを聞いてくる予定です。
また、今回は米国5都市のショッピングセンターをぐるぐる回り、ショッピングセンターの未来像を、関連事業者の皆様と考えてきます。

Writing: owadajunko

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