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2008年04月05日

「ロハスビジネス」出版記念講演会、盛況のうちに開催 (4/3)

桜満開の4月3日、午前10時から「ロハスビジネス」出版記念講演会(LBA主催)が、大和証券グループ本社カンファレンスホールにて開催されました。このホールは昨年末に竣工したばかりの新しいビルで、シティホテルのような上質で洗練された空間でした。

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講演会は、地方にお住まいで音声ファイルのお申し込みや、年度初めで入学式や異動、新入社員向けの研修などと重なってご参加できない方も多かったようですが、会場には遠くは岡山や京都、大阪、新潟や長野などから、約120名の”志”を同じくしている方々がお集りくださいました。

年齢も10代~60代、職業も学生、会社員、経営者、コンサルタント、投資家、農業関係者、研究者、ジャーナリスト、メディアの方々など幅広く多彩でした。唯一の共通点は、「ロハスビジネス」をお読みいただいた方であること、そして世の中を変えていこうという“志”を持っているということです。

会場には、「生活の木」重永社長や「オクタ」の山本社長など経営者の方々や、食環境ジャーナリストの金丸広美さん、「カイラス」小西編集長などメディアの方々も駆けつけてくださいました。

【祝電】

衆議員議員 小池百合子様や、共著者の水津陽子さんの出身地である島根県浜田市の市長 宇津徹男様から祝電を頂戴しました。ありがとうございました。

「『ロハスビジネス』出版記念講演会のご盛会を御祝い申し上げます。
環境ビジネスウイメンの一員としてエコビジネスの促進や持続可能な社会の実現に向け、精力的に活動されている大和田さん。
この度の出版を機にLOHASという新しい価値観が広がりを見せ、日本にも定着することを願ってやみません。
私と共に歩む大和田さんの今後一層のご活躍を心から祈念申し上げます。」
 元環境大臣 衆議院議員 小池百合子さま

「環境ビジネスウイメン」は小池百合子さまが環境大臣でいらっしゃったときに作られた懇談会で、現在は顧問を務められています。私も環境ビジネスウイメン三期メンバーとして、参加させていただいているご縁で、祝電を頂戴しました。


「『ロハスビジネス』出版記念講演会の開催を心からお喜び申し上げます。
健康と環境を大切にし、そしてそのことをビジネスにつなげていくというロハスビジネスの精神こそ、地方の再生のきっかけになるものと確信してます。今後の地方へのご指導と、この輪が広がりますように祈っています。」
 島根県 浜田市長 宇津徹男さま

続いて、大和証券CSR室長 内山達雄様にご挨拶いただき、講演会の幕が開きました。

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◆10:10~10:40 キーノートスピーチ 
  「ロハスビジネスで創る持続可能な社会」 大和田順子

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私の持ち時間は30分と限りがありましたので、なぜ私がLOHASというコンセプトにかくも惹かれたのか、その訳を最初にお話させていただきました。

私がボディショップを創業したアニータ・ロディックという、イギリス人女性を知ったのは今から約20年前のことでした。

彼女は英語と歴史の教師をした後、世界中を旅行。帰国後ゴードン・ロディック氏と結婚。ホ テル、レストランの経営を経て、1976年夫のゴードン氏とともに、自然の原料をベースにした 化粧品を製造・販売する「ザ・ボディショップ」1号店をイギリス、ブライトンで開店しました。

ユニークな経営方針とフランチャイズ方式で世界54ヶ国に約2,100以上の店舗を展開。
日本には1990年に1号店がオープンしました。

当時、「企業でありながら、社会変革を行い、社会性と収益性は企業経営の両輪だ」という主張に大変感銘を受けました。 そんな会社でぜひ働きたいと思ったのです。そして、 91年に、初代社長の木全ミツさんと出会い、93年に転職し、それから7年間、ボディショップ で、社会変革キャンペーンや、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを担当しました。

その期間に学んだこと、行動したことが私にとっての原点になっています。世界各地の先住民族の知恵に学ぶ、フェアトレード、絶滅の危機に瀕している動物を守る、化粧品分野の動物実験に反対する、人権を蹂躙されている人を支援する、リユースやリサイクルなど環境問題に取り組む。

2002年に私はLOHASに出会いましたが、LOHASが生まれる背景のひとつであるカルチュアル・クリエイティブ(CC)という新しい価値観を持った人々が台頭していることを、社会学者のポール・レイ博士は1998年に発表しました。このCCの代表的な人として、事業家ではアニータ・ロディックの名前が挙がっていたこと、これが私をLOHASに惹きつけた理由の一つだったのです。

――――――――― 中略 ―――――――――

これからの10年、私はLOHASのコンセプトを活用して、 ビジネスにとどまらず、地域再生や、人材の育成にも力を尽くしてまいります。 サステナブルな社会、CO2をできるだけ排出しない社会を、ここにいらっしゃる皆様とご一緒に創ってまいりたいと願っています。


◆10:40~11:30 ロハスビジネス経営者スピーチ  
  「食の安全と社会起業」 藤田和芳さま (大地を守る会 代表)

※藤田さんは、昨年7月「ニューズウイーク」で「世界を変える社会起業家100人」に選ばれました。

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藤田さんは、『複合汚染』という小説に大変影響を受けたと言います。そして1975年に、一人の変わった医者と出会い、その医者が開発した土壌改良材を使って、無農薬で野菜を作る農家の人々に出会い、その野菜を団地で販売することから、藤田さんの活動は始まりました。団地に住んでいた主婦の人たちは地方から出てきた人が多く、本当の野菜の味を知っていて、藤田さんが運んでくる無農薬の野菜のおいしさがわかったそうです。

農家と生産者をつなぎ、当初はグループによる共同購入を、そして85年から宅配を導入し、事業は飛躍的に伸びていったといいます。

同社には22000人の個人株主がいます。いずれも生産者や顧客ですが、日本の農業や環境を守りたいから株主になったという人ばかりだそうです。
これからも、全国各地にコミュニティビジネスを作り、社会のモデルを作っていきたいと、熱い想いを語ってくださいました。

淡々とした口調なのですが、かえって一言一言が胸に沁みこみました。


◆11:35~12:30 対談 「地域もロハスで元気になる」 
 水津陽子(地域再生コンサルタント/合同会社フォーティR&C代表/LBA理事)
 対談スピーカー 加藤則芳さま(作家・バックパッカー)

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最後の対談は、水津さんが地域再生の手法についてポイントを解説し、加藤さんは米国のアパラチアン・トレイルという自然保護の仕組みを「信越トレイル」に活用し、森・文化・歴史に触れるトレイルと、それを支えるボランティアの仕組みを作り上げた経緯をお話くださいました。

日本国内にもトレイルはたくさん整備されたのですが、メンテナンスをしないところが多く、70%は消滅しかかっているといいます。けれど、各地域にトレイルを歩くことを楽しむグループなどがあり、それらをメンテナンスのボランティアとして組織化することで、維持することが可能であること。
また、お二人から九州全域にまたがるトレイル構想の提案があり、参加者の関心を惹いていました。

ロハス層は自然を守ることを重視する人たちであること、そして「人間は社会人である前に、自然人である」という加藤さんの言葉が心に残りました。

藤田さんも、加藤さんもお二人の話に共通するのは、自然を尊重し、かかわる人の共感がベースになって仕組みを作り、事業を進めてきたことにあるといえるでしょう。


【参加された方からの感想】

感想のメールを頂戴しましたので、ご紹介させていただきます。

「本当にいい出版記念の式典でした。
それは、
・午前にやるということ。
・藤田さんのお話、真剣に心で聞け、心から感じ取りました。
・大和田さんのこれからの意志と決意が感じられましたこと。
この3点より感じた、そんな意味ある式典だったと思います。

私も、時代をよきベクトルにかえるのは自分、及び、自分達だという意をさらに持ち、活動して参ります。
「サスティナビリティとは思いやり」は、いい言葉ですね。そのことを心に、進んで参ります。」
 (「生活の木」社長 重永忠さま)

―――――――――――――――――――――――――――――

「大和田さんは、低炭素社会とか、農業・農村とか、ロハスの王道を突き進むような、気負いはみせないものの、心のこもったお話でした。

大地を守る会の藤田さんは、有機農産物を買ってくれる消費者を 頼りに起業し、勝手くれる消費者がいれば農家もその気になるという、起業時の明確なコンセプトを話されました。市民運動とビジネスの両輪を回し、成功させてきたことは、やはりすごいです。
林業等もこのような動かし方ができるといいのですが、林業って、日常的な消費者が存在しないんですよね。

共著者の水津さんは、信越トレイルに関わった加藤さんを引っ張りだし、対談をされました。ロハスな地域づくりにおいて、広域連携と都市の消費と投資を呼び込むことが必要という話でした。
九州長距離自然歩道という具体的なプロジェクトも提案されました。夢があるプラグマティックなお話でした(いい意味で)。

ロハス層(生活創造者)は、どちらかというと大都市に多いかと思います。
そうした大都市の心ある人々が、風の人として地の人とうまく関わることができれば、地方の閉塞感が打開され、持続可能な社会づくりが進むように思いました。それを再確認できました。」
 (プレック研究所 持続可能環境・社会研究センター長 白井信雄さま)


◆早速に雑誌「カイラス」や、オクタ山本社長が当日の模様をブログでお書きくださいました。
http://kailash.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_2a04.html
http://takumi0701.exblog.jp/8301161/


今回の講演会は各社様のご協賛で開催することができました。素晴らしい会場は大和証券様が、そしてエイワット、オクタ、サンクゼール、生活の木、阪急キッチンエール各社からも協賛いただきました。
また3月に創刊されたエコラグジュアリー雑誌「カイラス」と、星野リゾートの関連会社であるヤーホーブルーイング様の「サンサンオーガニック」を、ご参加の皆様全員にお土産としてお持ち帰りいただきました。本当にありがとうございました。

(2008年4月3日開催)

Writing: owadajunko

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