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2008年05月19日

今年の田植えはつくばの「みずほの村市場」の田んぼで

私も昨年から、GW前後に田植えに行くようになりました。去年は知人の千葉の家の田んぼで、そして今年は昨日、茨城県つくば市にある直売所「みずほの村市場」の田んぼで米作り体験会の田植えに参加してきました。

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つくば市は東京から約50㎞。「つくばエクスプレス」が開通し、都内から1時間圏内になりました。昨年末、みずほの村市場の方との出会いがあり、3月に施設を見学させていただきました。

◆毎日午後2時には売り切れが続出する直売所

みずほの村市場は、1990年に地元農家の長谷川久夫さんが中心となって直売所を開設したものです。地域の質の高い農産物を生産している農家に生産を依頼し、JAを通さず、自分たちで直接、顧客に新鮮でおいしい農産物を提供しよう、と始めたそうです。

売り場はいたって簡素で、農家の土間に今朝取れた野菜が並んでいるという感じです。多くの野菜や果物の試食もできるようになっています。新鮮で、顔の見える農産物は大変人気で、毎日午後2時頃には売り切れるものも少なくありません。花や植木も販売しています。
また、敷地内には古民家を移築した蕎麦屋もあります。横の水車小屋では、米や蕎麦を臼で挽いています。

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直売所入り口

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45人の生産者が参加

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まるで土間のような (2008年3月撮影)

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古民家を移築した蕎麦屋

10年前から米づくり体験会など、顧客が参加するイベントも続けてきました。
こうした取り組みが、ファンを増やし、「日本の農業賞2008」特別部門、「第4回食の架け橋賞」で優秀賞を受賞されました。日本の農業賞は、JA全中、JA都道府県中央会とNHKが主催し、日本農業の確立をめざし、意欲的に経営や技術の改革と発展に取り組み、地域社会に貢献している農業者と営農集団を表彰するものです。「食の架け橋賞」は、都市と農村の架け橋となる活動の貢献度などが審査されるものです。大賞は「相可高校(三重県多気町)」、優秀賞は「農事組合法人伊賀の里モクモク手づくりファーム(三重県伊賀市)」と「(株)みずほ(茨城県つくば市)」、特別賞は「清水牧場(愛知県刈谷市)」4団体が選ばれました。

このように毎年売り上げを伸ばし、今では顧客会員は11,000人、年間利用客数25万人。そして07年度は5.4億円にまでなりました。

農産物の直売所は今では全国に沢山ありますが、みずほの特徴は、出品している生産者の売上の高さです。45軒の生産農家の平均売上は約800万円で、これは全国でもかなり高い方だといいます。ちゃんと農業を続けていくには、農業だけで食べていける、子供が後を継ごうと思う収入を安定的に得られるようにすることが必要だと、長谷川さんは考え、様々な取り組みを行ってきました成果です。

同じ種類の野菜を二人の生産者に出品してもらい、自ずと質を競うようにしたり、日々の売り上げが12時、14時、15時に各生産者の携帯電話にメールで届き、商品を補充し、19時には当日の最終売上もメールで届きます。また、生産者の畑の土壌を診断し、それに合わせた堆肥を作って提供したり、野菜の品質を、栄養価の数値データで把握したりと細かい工夫を積み重ねています。また、今年4月にはJGAP(Good Agricultural Practice)という農業の生産工程管理手法も取得しました。

GAPは、「農産物の安全」、「環境の保全」、「労働安全」などを達成するために、農業生産工程全体のリスク管理をし、適切な農業生産を実現する有効な手法だと言われているもので、国も2011年までに全国主要産地でGAPを導入すると表明しています。それに先立ち、大分県のように、今年から県を挙げて導入に向けた取り組みを開始するとことも出始めています。農業も生産者の長年の勘と、こうした管理手法による生産性の向上を組み合わせる時代になったのです。

安全でおいしく、地域の住民に支持され、生産者の収益性も高いという「みずほの村市場」の事業モデルは全国からも注目されています。

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店内に飾られた「食の架け橋賞」賞状、トロフィー、GAP認定証

◆ 田植えには約100人が参加

それで、昨日の田植えですが、「米作り体験会」の会費は一人3,000円。5月田植え、6月草取り、9月の稲刈りと、3回通います。そして、参加回数に応じて、収穫されたお米が送られてくるというプログラムになっています。

米作り体験会も今年で10周年だそうですが、小さなお子さん連れのファミリーを中心に約100人が参加していました。募集は店内に簡単なポスターを掲出するだけだそうですが、今年は去年の倍の参加人数だといいます。それだけ、農業や米作りに関心を持つ人が増えたのということでしょうか・・・?

田植えを行った田んぼは2か所。一つの広さが2,600㎡。ここから20俵(1200kg)のお米の収穫を見込んでいます。無農薬での栽培をするつもりだけれど、雑草の出方によっては、除草剤をまくこともあるかもしれないが、お米には残留しないので、という説明がありました。1本の株(2~3本)から1,000粒のお米が生るそうです。お茶碗一杯で約3,000粒。

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1粒の米から

午前、一枚目のたんぼには皆で手で植えます。数日前に代掻き(しろかき:田植えのために、田に水を入れて土を砕いてかきならす作業)され、30㎝間隔に引かれた筋に沿って、20㎝ごとに、2~3本ずつ植えていきます。裸足で田に入りますが、気持の良いことこの上なく、小さい子供は田植えというよりは泥んこ遊び状態で、大喜びです。雨カエルやおたまじゃくし、ミジンコもたくさんいます。

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泥の感触が気持ちいい

昼食は農家の皆さんが作ってくださった、おにぎり、塩もみした野菜、豚汁、お餅(からみ、あんこ)、ミニトマト、果物(はっさく、スイカ)です。田んぼの土手にシートを敷き、ヒバリ鳴く、晴天のもと、五月の薫風にふかれてのお昼ご飯がとっても美味しくて、心地良いことこの上ありません。

午後の田植えは機械で行います。機械を使うの?と一瞬思いました。都会の消費者は昔ながらの手で植える田植えに郷愁があります。が、実際平地での田植えには、田植え機が導入されています。機械といっても、今回使用するものは一世代前のものだそうで、手押しで4条(4列)ずつ植えていくタイプのものでした。最新のものは、一度に8条とか10条ずつ植えることができるそうです。

6月の草取りの頃にはどれくらいの背丈に成長しているか楽しみです。(2008年5月18日)

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相当蛇行していますね・・・


※みずほの村市場 WEBサイト
http://www.mizuhonomuraichiba.com/

Writing: owadajunko

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