2008年08月29日
持続可能な社会を共創する”アグリ・コミュニティビジネス”とは
雑誌『カイラス』6月号の特集「農業からアグリ・コミュニティビジネス」ですが、改めてこの考え方について、ご説明いたします。
5月28日発行のメルマガでは、以下のように書きました。
「アグリ・コミュニティビジネス。それは、有機農業やGAPなど、より一層安全で確実な農法や生産管理手法を採用し、企業の発想で生産手法を革新し、マーケティングを取り入れる。また、農産物の生産にとどまらず、食品への加工やツーリズム、農業体験との融合による6次産業化や、農商工連携を進める。
そして何より、そこにしかない自然資本(里山、森林、河川)や、食文化、生活文化といった地域力と、都市居住者と地元居住者の交流力を組み合わせ、新しい社会・文化を創出しようというものです。」
このコンセプトのもと、全国から15の事例をピックアップしました。
全国各地で20年以上をかけて、地道に地域発のブランドづくりを成功させた「伊賀の里もくもくファーム」、「高知県馬路村のゆず」、「宮崎県綾町の有機農業」など農を中心とした地域づくりのフロンティア。
若者や企業の社員を呼び込むNPOえがおつなげての「関東ツーリズム大学」や、都市住民が野菜作りを行う会員制の「農業体験農園」。
企業では、百貨店子会社「阪急泉南グリーンファーム」による有機JAS野菜の生産や、機能性野菜というプレミアムカテゴリーを創出しようという「ベジフルーツ」など。
また、農家自身による取り組みでも、農家の収益性の向上を追求しつつ、会員制度やイベントを通じて消費者との交流を行う直売所「みずほの村市場」などをご紹介しています。
◆レポート「農業からアグリ・コミュニティビジネスへ」
『カイラス』6月号に掲載した記事の元原稿をPDF化しましたのでよろしければ、ダウンロードしてご覧ください。
「食と地方と農のパラダイムが変わる 農業から・アグリコミュニティビジネスへ」
◆企業のCSR活動で農関連のものが注目
最近注目の”都市と農山村の交流事業”を類型化してみると5つ位に分けることができそうです。
1.学校教育での活用 : 小学校5年生の農村体験の義務化に向けて、モデル事業が開始されている
2.新しいライフスタイル : ”半農半X”というような、農のある暮らしや、定年後の農業など、新しいライフスタイルを学習するプログラム
3.中小食品関連事業者の畑 : 無農薬農産物を扱う自然食品店や、お菓子やさんが、自社の原料の生産を農山村に委託するとともに、顧客と収穫など産地見学会を開く。
4.大企業の社会貢献活動 : 大企業が社会貢献活動として、農山村に自社のエリアを確保し、社員と共に作物の植えたり、農山村の資源を使ってワークライフバランスや五感を使うプログラムを実施。
5.商店街との交流 : 都市部の商店街や限定された商業エリアの交流。都市部でのファーマーズマーケットの開催や、交流事業。
6.限界集落、農山村の活性化事業 : 社会貢献活動から一歩踏み込み、自社の事業として、限界集落や農山村の資源を活用した事業を行う。持続可能な地域社会のモデル創出を目標に、企業と都市住民が共に活動するという事業も可能。
◆LBAアグリ・コミュニティビジネス研究会
そして、この考え方に基づき、実践していこうと立ち上げたのがLBAの「アグリ・コミュニティビジネス研究会」です。
すでに、多くの実績を挙げているNPOえがおつなげてのフィールド、山梨県北杜市須玉町増富地区に限界集落の現状と可能性をテーマにした視察バスツアー(9/9)を開催します。
さらに、都内で2回にわたるワークショップを開催し、参加者自らが自社の事業や、自分とかかわりの深いエリアを想定フィールドとして、今後の事業プランを練るという内容です。
講師には、「NPOえがおつなげて」代表理事の曽根原久司さんをお願いしています。
コーディネーターを私が務めます。
研究会の詳細は以下をご覧ください。
→ http://tourism-univ.net/class/research/hokuto_01.html
大企業の社会貢献活動の具体的な事例として、8/8に三菱地所グループが開催したバスツアーのレポートが掲載されています。
→ http://tourism-univ.net/report/social/mitsubishi_csr/0808_01.html
Writing: owadajunko