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2008年09月04日

エコに関心があるが行動しない層を動かす法 事例1.エネループ→トップバリュ充電池

日本では4人に一人が「ロハス層」です。彼らは、環境・健康・社会問題に関心があり、行動し、人に勧めるといった人たちです。その次の「生活堅実層」は、意識はあるものの、まだ行動に至っていない人たちです。そしてそのボリュームはロハス層の倍近くで、今の日本では最も多い層なのです。彼らが行動しない理由は、価格が高い、選択肢が少ない、どこで販売しているのかわからない、本当に環境に良いのかわからない、といったことです。この人たちが行動すれば、世の中が変わる、と思うわけですが、どうすれば、彼らを動かすことができるのか?生活堅実層を動かすアプローチを探していたのですが、ようやく事例を見つけました。

それは、充電池「エネループ」でした。

三洋電機が発売したエネループについては、『ロハスビジネス』(朝日新書)でも事例として取り上げました。ロハス層を対象にそのシンプルなデザインが採用され、それまでの充電池の弱点であった、自己放電を技術的に改良したこと、そして1000回繰り返し充電できる、といったことから、国内外で4000万本を販売するヒット商品となりました。グッドデザイン賞、エコプロダクツ賞なども受賞。そして、そのコミュニケーションでは“使い捨てをしないライフスタイル”を訴求した点、そして店頭ではアクアブルーの什器を使用するなど斬新なスタイルを採用したことも重要でした。
以前、野中ともよさんが同社の会長を務められていた際に「日経エコロジー」の取材でお目にかかり、お話をうかがったのですが、「ロハス層をイメージしてデザインをシンプルなものにした」とおっしゃっていたことが印象的でした。

eneloop.gif

その充電池を今年5月にジャスコが、プライベートブランドの「トップバリュ」シリーズから発売したのです。三洋電機が製造するOEMです。詳しくはトップバリュのWEBサイトをごらんいただくとして、エネループとトップバリュ充電池の違いのポイントを整理してみましょう。

・性能:エネループ 1000回充電 vs トップバリュ 1300回

・価格:エネループ 1880円 vs トップバリュ 1780円

・メッセージ:エネループ「使い捨てしないライフスタイル」
       トップバリュ「環境にやさしく、経済的な充電池」


生活堅実層に対象者を変える場合は、性能を上げ、価格は下げる、そして、平易でシンプルなメッセージで伝えるということです。

私が住んでいる東京都世田谷区にはジャスコがないので、三重県尾鷲市に出張に行った際に、地元のジャスコに、市の職員の方と一緒に行って売場を見てみました。残念ながら、環境にやさしく、お得な感じが今一つアピールしきれていない演出でした。店等のディスプレーやPOPを改善すると、もっと売れるのではないでしょうか。
実際、どれくらい売れているのか、機会があれば担当者にお聞きしてみようと考えていますが、生活堅実層へのアプローチの手法としては、明快なマーケティングだといえるでしょう。

Writing: owadajunko

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