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2008年10月18日

西会津まちづくり勉強会。帰りは「SLばんえつ物語号」の汽笛が心に沁みて

「西会津ローカルフレンズ」の中心メンバーの一人である佐藤昭子さんと出会ったのは今年4月下旬。出会いとはホント不思議なもので、福島の農業高校のPTA総会で講演をさせていただいた折り、駅前ビル「こらっせ」に生シイタケとキノコのお茶を展示即売に来ていた彼女を紹介して下さった方があったから。聞けば、東京生まれで東京育ち。中学校の美術の先生を長くしていましたが、45歳の時、夫のご両親が住む西会津に家族で移住し、キノコ栽培を始めたというのです。

「原木ですか?菌床ですか?」「菌床なのよ。サルが出て食べられちゃうから西会津奥川では原木は難しいの」と。菌床ではありますが、水は飯豊連邦の伏流水だと言うし、生産管理手法のJ-GAPも取得しているとのこと。肉厚でしっかしりしたシイタケですので、バターソテーや、焼いてポン酢醤油などをかけても実に美味しい。東京のミュラン2つ星の老舗精進料理料亭の板長に見初められ食材として採用されているそうです。

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しっかり肉厚なシイタケ。春には山菜が豊富

佐藤さんは、シイタケの他にも、“會’s”ブランドの加工食品をいくつも作っています。シイタケ茶をはじめ、シイタケの粉を配合したかりんとう、また地元の果実(高田梅、いちじく、干し柿・・・)などを使ったコンフィチュールも逸品です。このコンフィチュール、私は干し柿が大好きで、原料は干し柿、黒砂糖とブランデー。

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※佐藤昭子さんのキノコハウス

最初にお目にかかって3日後、JTBの常務で地域活性化伝道師の清水愼一さんが西会津で勉強会の講師を務めると聞き、さっそく現地に行きました。昭子さんのキノコハウスを訪ね、徳沢駅前の旅館で開かれた勉強会に参加し、「西会津ローカルフレンズ」が今年農水省の補助事業に採択され、本格的な活動を開始するということを知ったのです。

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徳沢駅前の旅館の二階広間で開かれた勉強会(2008年4月29日)
説明をする西会津ローカルフレンズ代表、伊藤和子さん。奥が佐藤昭子さん

その後、8月には秋田県角館から10分ほどのところにある農家民泊「泰山堂」に一緒に泊まって農家民泊のリサーチもしました。

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泰山堂は秋田の農家民泊一号の宿。囲炉裏を囲んで食事をする。

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家の敷地内に畑と離れの宿

そして、今日10月18日、ローカルフレンズ主催の「16回目 西会津地域づくりアクションプログラム勉強会」に講師として招かれ、再びJTBの清水さんともご一緒したのでした。

昨晩は、野沢駅近くの「工房笹屋」さんの蔵で郷土料理一品持ち寄りの会も開いて下さいました。ここは、西会津の農家民泊第一号で、西会津ローカルフレンズ会員の齋藤孔男&征子ご夫妻が運営されています。蔵を、ご夫妻で改装し、囲炉裏のある温かいスペースができあがっています。

最近、私が地方巡りにはまっている理由の一つが、この一品持ち寄りがです。イタリアンでもフレンチでも和食でもなく、地元の旬の食材を使った地域の伝統料理、これをいただくのが何よりの楽しみなのです。地酒や自宅で作ったドブロクや梅酒もしばしばテーブルに上ります。集まって下さった方も多彩。農家、酪農家、醸造技術家、雪の詩人、商店、農家民泊・・・皆さん色々な技とお仕事を持っている方ばかり。貨幣価値で測れない、心豊かな時間が流れています。

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地元の食材の数々:ジャガイモと干し大根、みがきニシンの煮物/マコモ竹のきんぴら/わらび、ぜんまいの煮物/菊のクルミ和え/こづゆ(醤油味の具だくさんの汁もの)/キノコの炊き込みご飯/シイタケソテー/馬刺などなど

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秋のしつらえが嬉しい。近くの山から取ってきて下さった紅葉

そして、講座では私は「ライフスタイル発の持続可能な社会づくり ―都市農山村交流事業の可能性― 」を、そして清水さんも「農商工連携」がテーマでした。ちょうど、一週間前に、NPOえがおつなげてが主催している「えがおの学校(農商工連携・都市農山村交流事業マネジメントコーディネーター育成講座)福島コースに、昭子さんと私も一緒に受講し、地元の5haの遊休農地の活用方法をディスカッションしていたので、その内容も紹介しました。

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これが5haの遊休農地。貴重な地域資源の一つ。

講座に参加された方は、地元のみならず会津板下(ばんげ)、喜多方、福島市など、広域で地域を元気にしようと活動していらっしゃる方ばかりです。清水さんはこのように全国各地の集落を回っては活動の進捗を聞き、皆さんを励まし、最新の情報をお話して歩いていらっしゃいます。まさに地域活性化伝道師そのものですね。

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JTB常務取締役、清水愼一さん

帰りは野沢駅から磐越西線を蒸気機関車「SLばんえつ物語号」に乗り新潟経由で東京への帰途につきました。車窓から紅葉が映える阿賀野川沿いを走ります。沿線各駅にキャッチフレーズが付き、まさに物語になっています。機関車の汽笛を聞きながら、今、このレポートを書いています。年をとったのか、何かのスイッチが入ってしまったのか、汽笛・・・なんだか心に染みます。トンネル入る前には「窓閉めにご協力ください」、駅では「車内に入った煙を出すために窓開けにご協力ください」というアナウンスも入ります。蒸気機関車ならでは、という具合で、これまた旅情をそそります。

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駅では子供を運転席に乗せてくれる

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全員にもれなく絵はがき付きパンフレットも

次回は雪の季節に訪れたい西会津です。(2008年10月18日)

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会津界隈のあちこちに出没する赤ベコ”赤べえ”

Writing: owadajunko

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