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2009年02月12日

ロハスビジネスで豊かな地域社会を創る -LBA第9回セミナーレポート

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 第9回LBA定期セミナーレポート
 「これが低炭素で持続可能な新しい日本、地域社会を創るビジネスだ。
  環境省との懇談会 日本版グリーン・ニュー・ディール!」 
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去る2月10日に、LBAの定期セミナーを開催しました。

今年はついに転換の年となりましたね。どのような価値観で新しい時代を創っていけば良いのか。幸い私たちは、その価値観で、それにふさわしいビジネスや地域作りの方法をすでに知っています。その鍵がLOHASなのです。人、地域社会、地球を健康に、元気にしたいと願うロハスな人たちの暮らしや行動を通じて実現することができるのです。

今回のセミナーは、そんなロハスビジネスの経営者の皆様を7人、そして持続可能な国づくりの政策を立案されている環境省の方々をお招きさせていただきました。各社のこれまでの成果、そして新しいビジョン、チャレンジをお聞きすることができました。

環境省、総合政策局の小林局長からは環境政策や、LBAに対する期待についても話いただきました。また、たいへんありがたいことに、環境経済課の石飛課長は、セミナーの最初から懇親会までご参加下さいました。

「日本版グリーン・ニュー・ディール」、環境保全を通じて景気浮揚や雇用創出が期待できるアイデア・意見を環境省では現在広く募集しています。
 
 ※意見の募集については
  http://www.env.go.jp/guide/info/gnd/

<各社からのプレゼンテーション> ※ご発表順です

◆エコリフォーム : オクタ 社長 山本拓己さん

関東に11の直営拠点と全国に代理店を持つ。年商41億円。2002年から塩ビクロスの使用を廃止し、珪藻土や無垢材など自然建材に切り替え、健康に良く、CO2を削減するリフォームを推進。また、毎年エコツアーを実施し、ステークホルダー、社員とその家族、お客様、取引先が参加しています。
こうした取組みが評価され、「エコプロダクツ大賞」審査員長特別賞(2007)、「日本環境経営大賞」環境価値創造部門環境プロジェクト賞(2008)を相次ぎ受賞されました。

今年はリフォームを行った顧客9世帯に電力使用量を測定する「省エネナビ」を設置し、実際にどれくらい省エネになっているか調査中だそうで、その結果を基に“カーボンオフ・リフォーム”のスタンダード化を行うそうです。また、3月から「こめまめプロジェクト」という地元農家と提携して社員の食糧を確保するプロジェクトも始めると。これは地元埼玉県で有機農業や持続可能なまちづくりを進める小川町を企業としてサポートするという活動でもあります。


◆コミュニティトレード : 生活の木 社長 重永忠さん

全国に150余店。年商60億円。30年前から、ハーブ、アロマテラピーを扱い、全国の自治体が運営するハーブガーデンの土産物などのOEM製造も行ってきました。世界35か国から300種類の原料を輸入。アーユルヴェーダサロンやスリランカにホテルも。昨年台湾にも出店。ガーナのシアバターを原料とした石けん製造はジェトロの支援を受け、「アフリカ会議」や「ダボス会議」(2008年開催)でも企業によるアフリカの支援として紹介されました。
つい先日5日にはダイヤモンド社から「ダイヤモンド経営者クラブ経営大賞」を受賞されました。おめでとうございました。

同社はまさに、今注目の“農商工連携事業”を20年前から手がけてこられたと言えます。そして、それは国内にとどまらず、途上国や国内各地での“コミュニティ・トレード”にも発展し、また、今後は店舗のある各地域の各教室をベースにした顧客参加の農山村交流事業などもてがけていきたいとのことです。


◆オーガニックコットン:アバンティ 取締役 奥森秀子さん
 http://www.avantijapan.co.jp/

日本でオーガニックコットンを広めて18年。社長の渡邊智恵子さんは今回はパリ出張でご不在でしたが、昨年「毎日ファッション大賞」を受賞(2008年)されました。おめでとうございます。年商は約10億円です。

アメリカのオーガニックコットン畑、そして国内の紡績工場など、原料から製造行程についてご紹介くださいました。通常のコットンが多く農薬を使っていることを改めて認識した方も多いのではないでしょうか。

今年から長野県(上田、小諸)にて綿の栽培を開始されます。これまで原料は海外から輸入してきましたが、今後は一部原料を国産化し、原点である農の部分から関わりたいということです。

アバンティの渡邊社長が、経済産業省で農商工連携を推進する大塚審議官やNPOえがおつなげての曽根原さんと出会ったのは昨年7月のLBAセミナーでした。その出会いが今回の小諸での綿づくりプロジェクトにつながったとお聞きし、大変嬉しく思っています。私たちに“農商工連携”を教えて下さった経産省の大塚審議官も今回のセミナーにご参加くださいました。


◆ 都市農山村交流 : えがおつなげて 代表理事曽根原さん

山梨県北杜市の増富という限界集落で活動を始めて6年。これまで個人のボランティアや企業の人たちの参加の仕組みを作りあげ、有休農地3haを開墾。“都市農山村交流活動”で持続可能な地域社会づくりにとりくみ、「(財)あしたの日本を創る協会」(読売新聞、NHK主催)のまちづくり賞にて内閣総理大臣賞(2008年)を受賞。また、今年1月には朝日新聞が選ぶ「にほんの里100選」にも選定されました。今年全国区でブレイク必至の曽根原さんです。

今年度の緊急予算で実施されることになった「田舎で働き隊」では、関東8か所の拠点で90人を募集中。アバンティの綿畑(小諸)もその一拠点です。募集締め切りは2月22日だそうです。日当も7000円出るそうです。

※「田舎で働き隊」については (応募締め切りは2月22日です)
→ http://tourism-univ.net/class/special/hatarakitai.html


◆ジャパンブランド : エコマコ 社長 岡正子さん 
 http://www.ecomaco.com/index.php

長野を拠点に、ファッションスクールを営みつつ、トウモロコシ由来の繊維を使用したファッション「エコマコ」をてがけています。昨年からは、「ジャパンブランド」に長野商工会議所と共に着手。シルクをベースにした新ブランド「Japonica」を開発中です。

私自身、エコマコを知るまでは、着るものが無くていつも困っていました。ロハスを語れるファッションが見つからなかったからです。今では講演会や取材ではいつもエコマコを着てお話しています。洗えて、皺にならず、着ていて
ラク、しかも大人の女性の可愛さ(私はカワイク無いですが)を表現できる服です。デザイン性と五感へのアピール、これも重要なキーワードです。また、今年は飯綱高原で桑を植える計画もお持ちとか。やはり原料から国産化したいとのことです。


◆ エコ泊:スーパーホテル 会長 山本梁介さん

今、大阪でロハスが広がっています。大阪というのは、価値の無いものにはお金を出さないという地域かと思います。最後の2社は大阪からお越しいただきました。

スーパーホテルは全国87か所で低価格のビジネスホテルを運営。売上げ150億円。これまでも「ぐっすり」や徹底的にムダを排除し、ITを戦略的に取り入れ、高品質で低価格のビジネスホテルチェーンを築いてこられました。毎月お客様から寄せられるサンキューカードは3000枚。感動を核とした経営、接客により、「関西経営品質イノベーション賞」(2007年)受賞。「ハイサービス300選」(2008年)にも選定されています。

現在は、日本一のロハスホテルを目指し、ISO14001の取得を始め、顧客参加の「えこひいき活動」等を実施されています。2009年からは宿泊にかかわるCO2ゼロ(カーボンオフセット)を「スーパーホテルlohas奈良」(3月12日オープン)で導入されます。

高品質で低価格、しかも、もれなくエコやロハスがついてくる、という取組みです。皆様もお泊まりになられましたら、ぜひお部屋に設置されているカードでご意見を書いてさしあげてください。
http://www.superhotel.co.jp/kaisya_r/company/ecology.html


◆生活者のエコ意識向上:シティライフNEW 社長 池谷綱記さん 
 http://www.lohasfesta.jp/

去年は色々と驚くことがありました。その一つが大阪で開かれているこの「ロハスフェスタ」です。大阪で60万部のフリーペーパー(月刊)「シティライフ」を発行。2006年より2日で5万人を集めるイベント「ロハスフェスタ」を定期的に開催されています。いったい、ロハスと名の付いたイベントにどんな人たちが何故参加しているのか、どうしても知りたくて10月のフェスタを取材させていただきました。

ロハスフェスタに参加している人は30代女性が最も多いのですが、彼女たちは「手作りすることを大切にしたい」「物を長く愛用したい」と言っています。そして、「お支度セット」と名付けられたマイ箸、マイボトル、マイ皿、そしてマイバッグ持参でロハスフェスタに参加します。ゴミもほとんど出ないイベントなのです。
このようなロハスフェスタが日本各地で開催されたら、・・・ 次回は4月25・26日。

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昨年、『ロハスビジネス』を出版して、水口健次先生からご連絡をいただきました。水口先生はマーケティング界の重鎮として長くご活躍されてこられた方です。そのご縁で台湾に行き、統一グループが主催する「ロハスシンポジウム」でお話をさせていただきました。私の『日本をロハスに変える30の方法』や、井手さんの『いきいきロハスライフ』も台湾で翻訳出版されるなど、今、台湾でロハスがブームになっています。

先生は大変残念ながら昨年10月にお亡くなりになりましたが、昨春お目にかかった際に「今年2番目に良かった本は『ロハスビジネス』だったが、最も優れた本は『ディープエコノミー』という本ですよ」、と教えて下さいました。ビル・マッキベンという米国の環境ジャーナリストの著作です。(英治出版)

『ディープエコノミー』の副題は“-生命を育む経済」。深い経済、人々を幸せにする経済のあり方とは。アメリカの農業や商業、そして暮らしで起きている新しい事例やデータを紹介しつつ、エネルギーの無駄を減らし、CO2排出量を減らし、人々の満足度が高まる経済を実現する方法について提案している本です。感動しました。

今回の7社様からのプレゼンテーションは、こうした経済危機、温暖化危機に直面する日本経済や社会の現状を変革する、新しい取組みや事業のヒントが沢山あったと思います。

私たちが目指す低炭素で持続可能で豊かな地域社会には、人々のつながりがあり、有機農業が広がり、豊かな森林やバイオマス、生物多様性が維持され、そして豊かな地域経済があるというビジョンを持つことができました。

小林局長のお話でも、「今回の金融危機、経済危機は、人類の暮らしと経済を地球生態系の一部とする社会変革を実現するチャンス、そのカギとして、多種多様なロハスビジネスが地域レベル又は全国レベルで展開されることが必要不可欠です。グリーン・ニュー・ディールの動きの中で、ロハスビジネスの新しいビジネスモデルが立ち上げられていくことに期待します。」というメッセージをいただきました。

さあ、どのようなビジネスモデルを作って、それを実現させていきましょうか。 (2009年2月11日) 

Writing: owadajunko

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