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2009年03月01日

「第4回 農を変えよう全国集会」報告 (3/1)

2月28日「第4回 農を変えよう全国集会」が愛媛県今治市にて開催されました。テーマは、「食の再生は農の再建から、地域の再生から ─ それぞれの地域から食の再生のために農の再建を進めよう!─」でした。

オープニングは短編映画「田んぼ」。田んぼの中に棲む生きものの賑わい。
田んぼは命の海。ミジンコ、どじょう、さぎ、カエル、ヤゴ、イトミミズにユリミミズにエラミミズ。用水路には魚道を設置し、田んぼと行き来するタナゴやどじょう。 

そして、オニグモ、コガネグモ。害虫カメムシを食べるクモやカエル。 
収穫の秋には田んぼの上空を舞うアキアカネ(赤とんぼ)
これは、昔の田んぼの話ではありません。今、全国各地に増えつつある、有機農業の田んぼの姿なのです。 

ミジンコかわいい。水中撮影されたミミズのダンスはコミカルで。
 
◆4回目を迎えた全国集会ですが、第1回目は2004年3月に深刻な閉塞感の中から始まったと代表の中島紀一さん(茨城大学 農学部教授)。そして、2006年12月に有機農業推進法が施行され、日本の農政も大きく舵を切りました。2008年4月から国の有機農業総合支援対策が開始し、全国各地で有機
農業推進の取組みが始まりました。全国45か所のオーガニックモデルタウン事業、そして普及啓発事業としての各地でのイベント開催などです。

ご存知かもしれませんが、日本の有機農産物はたったの0.19%です。これは有機JASの認定を受けている農産物のみの数字ですが、認証を受けていない無農薬・無化学肥料の農産物を合せても1%程度と言われています。

さらに、中島先生の話は続きます。「2008年は時代の大きな転換点だった。
食、環境、そして経済の危機が露呈し、有機農業をベースに地域力を取り戻す時代が到来した」と。

会議では以下の4点が提案されました。
 ①時代を救う道を地域と農に広げよう
 ②農とつながる食の再建を進めよう:いのち育む農業の再建
 ③有機の推進で地域の危機を救おう:風土産業
 ④農とくらしの現場から人と自然の共生の道を探ろう

◆前日の27日も関係者により「地域連携会議設立総会・大会」と題する会議が開かれました。設立総会ですから、まさにこの瞬間に設立され引き続き記念すべき第一回の会議が開かれたというわけです。

会議設立の趣旨は、これまでの有機農業は生産者と消費者の“提携”という関係が主流だったが、これからは地域ぐるみの活動へ拡大していこう。有機農業で地域を元気にし、そして各地で始まっている活動を共有し、全国的な流れを作っていこう、というものです。

◆27日、28日と講演をされた方の中でも印象だったのは
・兵庫県豊岡市 中貝市長による「コウノトリと共に生きる 豊岡の挑戦」
1971年に野生のコウノトリは絶滅。以来、さまざまな関係者の苦労を経て、2005年に再び自然放鳥が実現し、絶滅から40年近く経って再びコウノトリが舞う町を取り戻したという物語には大きな感動を呼びました。
※コウノトリ野生復帰(以下のページの「取組み体系図」がわかりやすいです)
 http://www.city.toyooka.lg.jp/kounotorimonogatari/index-new.htm

・愛媛県今治市 地産地消推進室 渡辺敬子さん「食と農のまちづくり」
今治市は25年以上前から安全な食のまちづくりを進めてきており、学校給食にも有機農産物や、地域の農産物が優先されているのです。
 

その他、去年静かなベストセラーとなった『地域の力』 著書 大江正章さん、高知県馬路村農業協同組合 東谷望史さん「ゆずによる地域づくり ―馬路村農業協同組合の取組み-」、JA越智今治 直販開発課長 西坂文秀さん「さいさいきて屋の挑戦」など、印象深いお話を二日間お聞きすることができました。

年間20億円の売上げを上げている国内最大級の直売所「さいさいきて屋」については、また別途レポートしたいと考えています。町の中心地にある百貨店が閉店する一方で、朝早くから賑わっている直売店。とりわけ西坂さんの「店の目標は売上げ額ではなくいかに売れ残り品、農家への返品率を減らすことです」という一言!


各地で起こりつつあった小さな流れが、合流し、大きな流れになり始めていることを感じています。
(3月1日)

Writing: owadajunko

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