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2009年05月02日

豊かな生態系の復活を目指す 「関東ツーリズム大学」 飯島キャンパス(長野県飯島町)

NPOえがおつなげてが事務局を務める「関東ツーリズム大学」は一都10県をエリアとして、農山漁村で農林漁業の体験活動を展開しています。今年3月の農水省の「田舎で働き隊」では、8拠点で90人を受け入れ研修を実施しました。

関東ツーリズム大学「田舎で働き隊」

その一つが生物多様性を重視した、1000ヘクタール自然共生農場づくり等を学ぶ長野県飯島町キャンパスでした。今回この拠点のマネジメントコーディネーターを務める松木洋一先生(日本獣医生命科学大学 名誉教授)のご案内で、同大学の「人間動物関係論実習」の研修合宿に参加させていただきました。(5/1~2)

アルプスの山々に囲まれた田園地帯  

飯島町は長野県の南部、伊那谷のほぼ中央に位置し、西に中央アルプス南駒ケ岳を仰ぎ、東には仙丈岳を中心に南アルプス連山を遠望する人口約1万1千人の田園地域です。東京、名古屋からは中央自動車道、JR飯田線などで3時間ほど。江戸時代には、幕府の直轄領(天領)を支配する拠点陣屋(延宝五年1677設置)が置かれ、信濃の国や伊那県の政治上重要な役割を果たしていた歴史のあるまちです。
現在は、町全域の農地1000ヘクタールすべてを自然共生農場とする壮大な計画のもとに、生物多様性農村社会の実現にむけて取組みを進めています。昭和30年代の、化学農薬があまり使用されていなかった時代の多様な生物生態系の復活を目指しています。 

豊かな生態系の復活を目指すキャンパス  

活動を担う団体は、有限会社アグリネイチャーいいじまです。標高800mの地域にあり、3haの敷地内には水田、畑、果樹園、ビオトープ、馬の放牧場、宿泊施設、研修施設があり、農業体験や郷土料理だけでなく、乗馬も楽しむことの出来る施設です。毎年首都圏から小学生、高校生、大学生などが農業体験研修や生きもの調査に訪れます。

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貯水池から望む交流施設

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池の周囲には何種類もの桜が

U字溝を撤去し、昔ながらの姿に戻った小川にはセリが生え、ビオトープでは、この時期でも「細身越年トンボ」という年を越すトンボの姿が見られました。ちなみにこのトンボ、冬の間は林の中で、茶色になって越冬し、春になると里に下りてきて水色に変わるんだそうです。

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春の小川。セリやクレソンも。

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細身越年トンボ

敷地内の果樹園では栗や銀杏の芽吹きが始まっているところで。

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栗の若葉

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銀杏の若葉


人間動物関係論実習

大学2年生を対象とした飯島町での研修は、人間動物関係論実習の一部で、見学、体験、講座、ワークショップなどからなる二泊三日のプログラムでした。約40名の学生が参加し、野生動物の生態調査、牧場・聴導犬施設見学、乗馬など、人と動物の関係について多面的に学ぶ、とても質の高い内容のものでした。

プログラムの主催は同大学で、永松美希先生をはじめ、時田昇臣先生など大学の先生方が企画し、信州大学の先生や、地元の専門家の方々の協力を得て実施されています。私は2日目のプログラムを見学させていただきました。

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実習スタイルはつなぎに長靴、帽子、軍手も欠かせない

野生動物実習では、近くの川沿いの林を歩き、カモシカ用の捕獲檻、リスが食べた松ぼっくりやクルミ、イノシシの足跡をさがしたり、また、サルに付ける発信器(位置を測定し行動を調査する)とアンテナの操作方法を体験するなどしました。こうした山に近い里山はサルやイノシシ、カモシカから農作物を守りつつ、いかに野生動物と共生するか大きな課題です。

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天竜川の支流。イノシシ、シカ、リス、サルが住む。

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サルの行動を調査する発信器の位置を測定するアンテナ

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シカの捕獲檻に入ってみた

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リスが食べた松ぼっくり、山クルミ

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リスの好物。山クルミの花

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馬の世話や乗馬の体験も

私が小学生の頃、地元の府中競馬場で乗馬を習ったことを懐かしく思い出しました。

※あぐりネイチャーいいじま
 http://www.cek.ne.jp/~aguri-i/

Writing: owadajunko

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