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2009年06月28日

カンザス州オーガニック農家&ビジネス訪問記(速報) 2009年6月28日

24日からアメリカのカンザス州に来ています。私の農山村巡りも、いよいよ海外まで!ということで。

ウイキペディアによれば、カンザス州 (Kansas KS) はアメリカ合衆国の中西部の州で、グレートプレーンズ(大平原地帯)の中にあり、小麦の栽培や牧畜が盛んです。州都はトピカ市 (Topeka)。俗称「アメリカのパンかご」だそうで。カンザスシティーは、「オズの魔法使い」で、主人公のドロシーの故郷として登場することでも知られています。 また、昔からカンザス州はアメリカにおける田舎の代名詞になっているそうで、確かにまちを少し離れると、広大なトウモロコシ、大豆畑と牧場が広がっています。

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農業地図。中央付近の黄緑と黄色が半々くらいの州がカンザス州

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遺伝子組み換えトウモロコシ畑が続く

シカゴで乗り換えカンザスシティ空港から車で1時間、「ローレンス」という人口9万人の小さなまちに来ています。このまちには3つの大学があり、州内で唯一リベラルなまちです。1970年代から、地域の食は地域で支えようと市民出資型の生協や、有機農業を広めていこうと「カンザス・ルーラル・センター」というNPOができて活動を続けてきました。ダウンタウンに商店街もしっかり残っています。

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ローレンス市の中心商店街。ナショナルブランドはGAP、スターバックス位

今回のツアーは「グローバル・パートナーシップ・フォー・ローカル・オーガニック・プログラム」という日米、埼玉県小川町と、カンザス州ローレンス市の有機農業者および有機農業を推進しようと取り組んでいる人々による交流プログラムです。日本からは、小川町で有機農業を38年続けて来た金子美登さんの妻の金子友子さん、有機農業家の岩崎民江さん、地域でミニコミ誌を発行している高橋優子さんやIFOAMジャパンの方々など10名が参加しています。私はツアーを取材するという立場で特別に参加させていただきました。アメリカ側は「カンザス・ルーラル・センター」が、日本は「IFOAMジャパン」が主体となっています。

※グローバル・パートナーシップ・フォー・ローカル・オーガニック・プログラム
http://www.gplof.org/us/

※IFOAMジャパン
http://www.ifoam-japan.net/


有機農業にチャレンジする人々


カンザス州は酪農や大規模農業が中心の州です。広大な遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆の慣行農法の畑が広がる風景です。一方で、70年代~家族経営の有機農業も綿々と続けられてきた地域でした。今回訪問している農家は、そうした家族経営の農家が中心です。40代、50代で農業を始めている人も少なくありません。元弁護士、教師、会社役員だった人が、新規で有機農業をはじめ、4年目で売上げ500万円位になったとか、小規模有機農家は、直接定期的に消費者に販売したり、CSAやファーマーズマーケットで販売をするなどしています。地域のカレッジ(JCCC)には、こうした新規で農業を始め、事業として取り組みたい人向けのコースなどもあってユニークです。

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家族経営の有機農家の農場。少量多品種だ。

そのカレッジのレストランで昼食を取りましたが、そこでも近くの他の大学の農学部が作っている有機農産物を使った料理が出されていました。すごく洗練された建物で、驚きのコミュニティカレッジでした。

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カンザスステートユニバーシティの実験農場(一種の温室)

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そこで収穫されたブルーベリーがランチのデザートに

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コミュニティカレッジのレストラン


家族経営の有機農家を支えるCSA、ファーマーズマーケット

CSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)と言って、地域の消費者が生産者と直接関係を持つ仕組みもあります。消費者は週に一度決まった場所に野菜を取りに来ます。「ローカルバーガー」という地元の野菜・肉を使ったハンバーガーショップがあり、そこで野菜を配る様子を見学しました。
CSAは日本の”提携”(「霜里農場」金子さんらが行っている消費者との直接取引)に端を発したもので、今では全米に広がっています。

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消費者が野菜を取りにくる

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ローカルな農産物を積極的に扱うコープ「MERC」。町一番の人気店だ

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50キロメ-トル圏内の生産者の農産物を扱う。商品POPにマイル表示も。

昨日はファーマーズマーケットでした。ローレンスのダウンタウンにある駐車場で開かれているマーケットは毎週一回開かれ、80の生産者が出展し2000人の地域の住民が買いに来ます。日本からのグループには「自由の森学園」で給食の責任者をしている栄養士の泥谷(ひじや)千代子さんも同行されていて、ちらし寿司や野菜の白和えのデモンストレーションを行いました。

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朝早くから大勢の人で賑わう

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消費者と生産者の出会い&対話の場でもある

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プロジェクトの概要を説明するダンさん

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デモンストレーション。ちらし寿司、白和え、きんぴらなど。

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日本メンバー

ローカル&オーガニック!

一般的にはあまり知られていない埼玉県小川町とカンザス州ローレンス市ですが、いずれも有機農業者が地域にこだわり、地域の人々の健康や土壌の健康、地域経済の活性化にこだわり、小売店や大学、社会企業家などと連携し、活動をさらに拡大していこうという取組みは、大いに他の地域の参考になるものです。

小川町、ローレンス。共通するキーワードは“ローカル&オーガニック。11月には小川町でこの交流プログラムの報告会も開かれるそうです。起業家として地元で注目を集めている「ローカルバーガー」や、それぞれのファーマーの紹介はまた後日。 (2009年6月28日)

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オーバー・ザ・レインボウ。日没前に虹が


※金子さんの「霜里農場」(埼玉県小川町)
http://www.owadajunko.com/archives/2009/02/post_97.html

※ローレンス市は平塚市と姉妹都市です。ローレンス市の概要
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/koryu/lawrence.htm

Writing: owadajunko

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