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2010年06月09日

大好き豊岡応援隊に参加。魅力発掘ツアー「城崎温泉編」

以前から注目している兵庫県豊岡市は、環境共生型農業を定着させ、コウノトリが復活したまちとして有名。このたびその豊岡を応援する首都圏女性8人からなる「大好き豊岡応援隊」に私も参加することに。

5月24~26日、豊岡の魅力発掘ツアーに行ってきた。その様子を何回かに分けてレポートしたい。第一回の今日は「城崎温泉編」

◆ 人口減少時代に地域が生き残る策

豊岡市は兵庫県の北部にある面積700平方キロ、日本海に面し、京都との県境に位置する人口8.6万人の町。平成17年に6市町村が合併した。城崎温泉で有名な城崎、伝統的建設物地区に指定されている城下町の出石などだ。豊岡市は、飛行機では羽田→伊丹→コウノトリ但馬空港というルートで約2.5時間。列車では新幹線で京都、京都から特急で豊岡と約5時間で行くことができる。

東京から2時間半で着くはずだったが24日は大雨。なんと、伊丹空港から但馬空港への便が欠航になってしまった。欠航は5%の確率だそうだからなんとも。急きょ、豊岡市から市のバスが迎えに来てくれることになり、結局市内に着いたのは午後の3時を回っていた。朝自宅を出たのは5:30だったので、10時間もかかってしまった(泣)

さて、豊岡市はコウノトリをはじめ、城崎温泉や、出石、そして地元の鞄産業などを組み合わせたプロモーションに力を入れている。特に関東圏から人を呼び込みたいと考え、昨年11月に、東京で初めての「豊岡エキシビション」という展示会イベントを開催した。メディア・旅行業・小売業関係者らが参加した。中貝市長のスピーチをはじめ、コウノトリ応援団長の柳生博さんメッセージや、城崎温泉組合などからもプレゼンテーションがあった。もちろん、地域の食材を使った試食コーナーも用意されていた。

「豊岡エキシビション」で中貝市長は次のように語った。
「人口減少時代に地域が生き残るには、“小さな世界都市”を目指すことです。そのために、 1.固有の自然・歴史・伝統・文化に根ざしたまちづくり、2.環境都市の実現、3.情報発信戦略を進めていきます。」
魅力的なまちづくり、同市では、コウノトリの復活を40年以上もかけて成し遂げたのだ。

そして豊岡市が、蘇らせたのはコウノトリだけではなかった。

※コウノトリ復活のストーリーは↓
  http://soratsuchi.com/owada/2009/08/post-6.html

◆ 木造三階建ての旅館が並ぶ城崎温泉

関西圏有数の温泉街である城崎温泉地区においても、復興の物語があった。同温泉は木造三階建ての旅館が立ち並ぶ温泉街であったが、大正14年5月23日の北但大地震によって火災が発生し、ほとんどの建物は焼失した。
復興のコンセプトは“元に戻す”だった。当初検討された洋風建築の復興計画を撤回し、木造三階建て旅館の町並みを再現した。防災対策として川幅や道路を広げ、地面を高くするなど手を打った。

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城崎温泉街(写真提供:豊岡市)

さらに、温泉街全体を一つの旅館と見立て、駅は玄関、道路は廊下、外湯(7つ)が大浴場、お土産店が売店、スナックも町中にというように、お客様が巡りやすいまちづくりを行った。そぞろ歩きしたくなる温泉街として町は賑わい、ヨーロッパの人たちにも人気だ。

実際に訪問した日は平日の夕方だったが、確かにケバケバしいネオン街もなく、落ち着いた街並みだ。
私が泊まったのは老舗の一軒である「山本屋」。木造三階建てが温かい。江戸時代に開業し、創業350年。昔も今も城崎温泉の真ん中「一の湯」の隣に建てられた宿だ。

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老舗、「山本屋」

もちろん、食事は地元の食材にこだわる。地元でとれる魚、近海でとれたかに、但馬牛(黒毛和牛)、山本屋の田んぼで作った赤米、直営の地ビール工房で作った地ビールなど。地ビール工房は但馬の水を使い、麦100%にこだわった本格地ビールが4種類飲める。温泉の後は、もちろんこの地ビールをいただいた。香りも強く、深みのあるレッドビールを選んでみた。喉が鳴った。

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食事を部屋出ししてくれるのは嬉しい

城崎温泉には外湯が7つもあって、時間があったら回りたいところだったが、疲れていたこともあり宿でくつろいだ。次回はぜひ外湯巡りをしよう。

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「一の湯」(写真提供:豊岡市)

そして、温泉街の近くにも、コウノトリの棲息する「戸島湿地」がある。今年の新米から山本屋でもコウノトり米を出したいという。地域の農産物が食材として使用される宿、農家民宿だけでなく、こうした一般の宿でも増えてきたことは旅人としてはうれしい。


◆ ハチゴロウの戸島湿地

2009年4月、城崎温泉街から、車で2分ほどの所にある戸島に「ハチゴロウの戸島湿地」がオープンした。ハチゴロウというのは、野生のコウノトリの名前だ。2002年の8月5日にロシアから飛来したので、そう呼ばれ愛された。2002年は人工飼育が軌道に乗り100羽を超え、野生復帰に向けて「コウノトリ育む農法」を導入し始めたまさにその年だった。飛来は31年ぶりのこと。育む農法の開始をお祝いするかのごとき飛来に地域の人々は大いに勇気づけられた。そのハチゴロウが、戸島地区の湿田のフナやボラ、ナマズ等を食べに頻繁にやってきたのが今の戸島湿地だ。ハチゴロウの功績をたたえて、ハチゴロウの戸島湿地と命名された。

こんな素敵な話を宿の仲居さんが話してくれたら、コウノトリ米からできた日本酒を飲みながら、明日は戸島湿地を訪問しようと思う宿泊客が大勢いるに違いない。

今回のツアーでも最終日に訪問した。幸運にもちょうどヒナがいた。そのヒナに餌をやっている様子を室内のモニターで見ることができ、実際の鳥も窓越しに見えるという施設だ。解説する担当者の熱い気持ちが伝わってきて感動した。今日(6月8日)、そのヒナが巣立ったと豊岡市の職員からメールが来て、またまた感動した。

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湿地でえさを取る親鳥。ヒナは巣塔で親を待つ

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室内のモニターに映しだされた親子の姿

豊岡には復活と感動の物語がたくさんあった。次回は家族で城崎温泉と戸島湿地を訪問し、外湯めぐりとコウノトリの新米を楽しみたい。 (6/8記)

Writing: owadajunko

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