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2011年08月16日

八丈島日記2011夏 島産島消の牛乳について考えた

今年の夏休みは8/9~15、八丈島に行ってきました。今年は1月、5月に続いて3回目。次回は秋!?に行けると嬉しいな。

今回の八丈島ステイのテーマは”八丈島産牛乳・酪農”
行くまで全く考えもしていなかったテーマだったんですが、どういうわけか、日々、関連する人に会い、場所に行っていました。

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◆8月9日(火)晴れ

一便(7:40分羽田発)で八丈島へ。今年は1週間滞在する。東京は今日から猛暑日が続くと予報されているが、八丈は日中で30℃前後、朝晩は24℃くらいまで下がるので、今やむしろ避暑地だ。
海あり、山あり、温泉あり。年間降雨量は3200mm程度で、全国でも有数の降雨量。最近、降雨量や森林面積が多いのは資源の宝庫だとつくづく思う。八丈の森林もかつては薪炭林として活用されていた。

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午後:電気自動車を使った自然エネルギーの活用実証実験の説明会にオブザーバー参加した後、「楽農アイランド」を訪問。「八丈牛乳」を製造している会社。もともと、「八丈牛乳は」JAが製造していたが、赤字がかさみ事業を中止することに。学習塾を経営してきた小宮山建(こみやまたけしさん 64歳)が、牛乳工場の経営を2008年4月にJAから引き継いだ。出資者は90人にのぼる。

「“八丈の牛乳を守ろう”という運動に参加していたんですが、誰も引き受けてが無かったので自分がすることになったんです。全く異分野からの挑戦でしたが、赤字も初年度から200万円ほどまで圧縮できました。あと一息で黒字です。」と小宮山さん。そして、これからの夢は、飼料の島産化。島のふんだんにある草(マグサ、チガヤなど)を活かし、“山地酪農”(放牧)をすることだと。元来草を食べて育つ牛の乳は、さらっとして優しい甘さがある。近いうちにそんな牛乳が飲めるかもしれない。

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楽農アイランド社長、小宮山建さん

山地酪農は、岩手の中洞正さんの取り組みが知られているが、急傾斜の山地を日本芝で草地化して牛を周年放牧し、牛乳を生産する酪農で、古くから日本では行われてきた酪農法だ。拙著『アグリ・コミュニティビジネス』でも、「森林ノ牧場」を紹介した。同牧場はその後、アミタから事業譲渡され、原発事故の影響で営業停止中であると聞いているが、森の中にあるすばらしい牧場だった。

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今夏は乳量が少なくて希少品。500ml 158円

※「楽農アイランド」 http://www.rakuno-island.com/


◆8月10日(水)晴れ

夕方:18年間通うたびに朝食で食べている「やたけ」の食パン。ふんわり柔らかくて美味しい。ジャム、クリーム、アンパンなど5種類のミニサイズのパンが入ったミックス(300円)も、浜辺や散策に行くときのおやつにピッタリ。
その「やたけ製菓」の社長大沢力さん(おおさわ・ちから 62歳)にお目にかかることができた。

八丈島には水田が無いので、お米が取れない。芋は美味しいジャガイモ、サツマイモ、里芋はできるが、米が取れないのか・・・とずっと思っていたが、今年のお正月に、かつては島にも水田があったことを地元新聞「南海タイムス」の方に教えていただいた。そして、今年大沢さんが中之郷(なかのごう)地区で復田し、米作りにとりくんでいるという話を耳にしたので、さっそくその田んぼにご案内いただいた。

今年は手始めに、100坪を開墾、復田し、コシヒカリを植えた。若い人達と一緒につくりたいと、大沢さんが監督を務めるサッカーチームの20代、30代の人たちと田植えや草取りをしたそうだ。田んぼの水は三原山のもので、花卉栽培用に引いてあるものを利用。朝早く行くと時々白鷺の姿も見られたという。たわわに実った稲穂。9月の刈り取りまで無事に熟してほしい。

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20年ぶりに復田。トンボ、バッタ、クモがたくさん


晩には近くの居酒屋さんで、島魚の刺身やクサヤを肴に島焼酎をいただきながら親しくお話しさせていただいた。

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島ずし。醤油漬けにした刺身が乗る

やたけのパンがふんわりと柔らかくて、優しい味の秘密は、八丈の乳牛の生乳、卵等を使用していること。そして、小麦は海外産だが材料の配合は数十年前に新橋第一ホテルのシェフと一緒に決めたものだそうだ。以来、一切レシピを変えていないという。6枚切り一斤252円。

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おやつの定番。ミックスパン

そして、今日も牛乳談議に。八丈にはかつて世界一の乳量をほこった牛がいた。当時の飼料は島に自生している「マグサ」。八丈の気候や風土が酪農に合っていたから、世界一の乳量が出る牛を育てることができたのかもしれない。ネットで調べると、一般的にはマグサは“秣”と書き、イネ科の植物で馬や牛の飼料とする草だが、八丈ではススキの一種をマグサと呼ぶらしい。


◆8月11日(木)晴れ

午後:今日は「地産地消かわら版 島の生活ガイド」(2008年創刊)という情報を年4回発行している岸田栄美さんら女性の皆さんと一緒に島で1軒になってしまった高橋牧場を訪問。
乳牛が30頭いるが、リーマンショック以降、飼料代が高騰し経営は大変だという。「マグサをボランティアで刈って届けてあげたいわ」という意見も。島産牛乳を支える唯一の酪農家だけに、サポートしたい人も多いはず。

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牛は草が大好き


夕食にこんな魚を煮て食べた。かわはぎくらい皮が硬いが身は白身で美味しい。2匹で298円という安さ!

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     ↓
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◆8月12日(金)今日も良い天気

午前:富次郎商店向かいの坂道を車で5分ほど登り、そこから三原山の唐滝まで歩く。岩崎由美さんのガイドとは贅沢なウオーキングだ。植物を見ながら鳥の声を聞きながらゆっくり歩いて片道1.5時間。早や足なら50分程度。途中、硫黄分で水が青い「硫黄沼」もある。パワースポットらしい・・・ 滝の周囲は本当に涼しい。
 
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硫黄沼

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唐滝

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玉あじさいの説明をする岩崎さん


昼:「いそざき園」にて郷土料理。前菜には明日葉コンニャク、ムロアジの煮つけ、ジャガイモなど。サービスに四角豆が。たれはマヨネーズと味噌を混ぜたものか。
今年5月ゴールデンウイーク以来2回目だが、昔ながらの家屋、畳の部屋でいただく郷土料理は落ち着く。お刺身、麦ぞうすい(里芋、シイタケ、明日葉入り)。デザートに自家菜園で取れたスイカとメロンがつくのが嬉しい。「夏休みだから」と言い訳して昼からビールと日本酒も共に(笑)。

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夕方~晩:今日は末吉の「みはらしの湯」まで足を伸ばす。他の温泉に比べて500円と高いが、絶景。
満月が灯台の脇、東の空に昇り、日は西の山に沈む。満月の光が海面に映り、輝く道が伸びる。

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満月と灯台。ブレているのが惜しい!


◆8/13(土)今日も良い天気

朝:5:30 ワンコの散歩の前に例の田んぼの様子を見に行く。白サギの姿はなかったが、クモやトンボ、バッタが沢山いた。緑のカメムシもけっこういたので心配だ。これからスズメ除けに糸を張ると聞いている。9月の稲刈りまで心配の種は尽きない。

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午前:今日は庭&畑の草刈り。ご近所の方に手伝っていただいて夫が草刈り機で畑部分の篠竹を退治。放っておくとあっという間に篠竹畑に戻ってしまうから気が抜けない。

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篠竹との戦い。半分は刈れたが・・・

午後:そろそろ夏休みの宿題モード。講演の準備や原稿、論文など。残すはあと2日に。

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ギョサン(漁業者用サンダル)もすっかり定番化
今年は黄色を近くの富次郎商店で購入(800円)


今回の滞在では、予定していなかったにも関わらず、「八丈牛乳」に関わる人たちにお目にかかることができた。おかげで、八丈島産の牛乳を、もっとこうすれば、沢山の方に飲んでいただけるのではないか・・とか、色々アイディアが浮かんだ。
飼料となるマグサを刈るボランティアとか、牛のお世話とか、島民の酪農体験とか、牛と触れ合う場づくりなど、島民参加で島の酪農を盛り上げていく方法もあるのでは!?

Writing: owadajunko

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