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2011年10月31日

「蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクト」キックオフ!(10月27日 宮城県大崎市)

何がすごいって、冬になるとシベリアから渡ってくるマガンなど渡り鳥の数です。
10万羽を超えるのです。その10万羽のマガン、昼は蕪栗沼周辺の田んぼで落ち穂をついばんでいるのですが、日没前に四方八方から帰ってきて“ねぐら入り”をします。その光景がすばらしい。

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そして、朝、日の出の頃に、今度は一斉に飛び立つのです。地響きのような音も伴って壮観です。
今年2月に出版した『アグリ・コミュニティビジネス -農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会-』の取材で昨年は3回ほど現地にうかがいました。大崎市からは「鳴子の米プロジェクト」と「蕪栗沼とふゆみずたんぼ」のことを書かせていただきました。

蕪栗沼の周辺水田(大崎市田尻伸萌地区)は、マガンや白鳥など渡り鳥のために、冬場に水を張る「ふゆみずたんぼ」(冬期湛水:とうきたんすい)を取り入れています。こうすると、冬場に稲藁の分解が進み、イトミミズや微生物が増え、豊かな土壌になります。土の上にトロトロ層ができ、雑草の発芽を押さえる効果もあります。

「ふゆみずたんぼ」は渡り鳥のためだけでなく、生きものが賑やかな水田を つくり、とても美味しいお米ができるのです。渡り鳥のために始めた「ふゆみずたんぼ」は農家の人たちの優しさでもあります。昨年取材したレポートを以下に掲載しています。
 http://soratsuchi.com/owada/2010/09/post-14.html

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日中は沼の周囲の田んぼで無農薬の落ち穂をついばむマガン(稲刈り後10月)

http://www.youtube.com/watch?v=Z06sHB0zTqQ&NR=1
(こちらは動画です。2011年9月25日)

この素敵な物語を一人でも多くの方に知らせたくて、応援団を増やしたくてそして、そうしてできた美味しいササニシキを多くの方に味わっていただきたくて、大崎市役所の皆さんが地元のNPOの方々と「蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクト」を企画し、総務省の「緑の分権改革事業」に応募され、応募総数171件から採択された32件の一つに選ばれました。宮城県では唯一です。

※企画概要に関するプレスリリースが以下に掲載されています。 
http://www.city.osaki.miyagi.jp/day/201110/download/kickoff_chirashi2.pdf


◆ 地域主権型社会への転換をめざす「緑の分権改革」事業

総務省によれば、「緑の分権改革」とは、地域の活性化、絆の再生を図ることにより、地域から人材、資金が流出する中央集権型の社会構造を、分散自立・地産地消・低炭素型の地域主権型社会へと転換することをめざすものであり、そのために、地域の豊かな自然環境、再生可能なクリーンエネルギー、安全で豊富な食料、歴史文化資産の価値等を最大限活用し、地方公共団体と市民、NPO 等の協働・連携により、地域の自給力と創富力(そうふりょく:富を生み出す力)を高めるしくみをつくる、というものです。私はこのコンセプトに大いに共感し、今回の「蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクト」については企画段階から、できる限りのご協力をしてきました。


◆ 蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクトで取組む6つのこと

プロジェクトでは
 1.大崎&仙台・女性による応援組織「ふゆみずたんぼ広め隊」
 2.アグリ・コミュニティビジネス研修
 3.ふゆみずたんぼによる津波被災水田の復興に関する実証調査
 4.蕪栗沼の葦のペレット活用に関する実証調査
 5.映像、絵本、webサイトによる情報発信
 6.上記に基づいたビジネスモデルの構築
に取り組まれます。期間は単年度事業なので、まずは来年2月までです。

映像は「Think the Earth」の上田壮一さんに、絵本は葉祥明さん、そしてビジネスモデルの構築や地域資源経営に関するアドバイスを宮城大の授業構想学部教授 風見正三さんが加わるということで、強力なチームができました!
きっとためいきの出るような美しい映像、心が温かくなる絵本ができるに違いありません!

10月27日にキックオフイベント「渡り鳥 ・生きものと私たち、命のゆりかご”蕪栗沼・ふゆみずたんぼ”フォーラム」が加護坊山という場所のレストラン「四季彩館」で開催されました。お天気にも恵まれ、眼下に広がる田畑、はるかかなたに連山という気持ちの良い眺望のロケーションで進行することができました。

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大崎市伊藤市長からのご挨拶

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50余名が、大崎市内や仙台からご参集


◆ 皆でマガンのねぐら入りに感動

このフォーラムの目的はプロジェクトの関係者が情報と体験を共有することにあります。
最初に2つのプレゼンテーションを地元のNPOから。「ふゆみずたんぼによる被災水田復興プロジェクト」についてNPO法人田んぼ 理事長 岩渕成紀さん。続いて「蕪栗沼の四季と葦ペレット」についてNPO法人蕪栗ぬまっこくらぶ 副理事長 戸島潤さん。それにしても、なんとも美しい景色が四季を通じて楽しめる場所なのでしょう。

続いて応援団からのエール!ということで、葉祥明さん、上田壮一さん、そして風見先生から熱いメッセージをいただきました。


続いては、五感で蕪栗沼の自然を堪能する時間です。
「マガン号」というバスに乗って皆で日没の蕪栗沼へ。

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四方八方からマガンは沼をめざして帰ってくる

「今日のねぐらいりは、相当素晴らしいですね。」と、ガイドを務めて下さった蕪栗ぬまっこくらぶの戸島さんも感心。
私のデジカメは全然使い物にならず、こんな写真しか撮れませんでしたが・・・

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日没頃の蕪栗沼


◆ 懇親会は地元の美味・美酒に舌鼓

続く懇親会は、特産の宮城野豚(お米で飼育されている)の定番メニューしゃぶしゃぶや、宮城野豚からつくった無添加ソーセージや有機栽培の野菜にチーズフォンデュ。チーズフォンデュといえば、通常は白ワインで伸ばすのですが、今回の懇親会のお酒は日本酒がメインということで、「一ノ蔵」の煮切った日本酒を加えたとか。同じ発酵系のものなので、全く違和感なく、美味しくいただけました。

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こんな具でチーズフォンデュでいただきました

おにぎりはふゆみずたんぼで育まれたササニシキ。もちろん農薬・化学肥料は使われていません。ササニシキは大崎市の古川試験場が発祥の地で、お寿司をはじめ、和食には良く合うさらっとしたお米です。あまり作付されていないのですが、今回は特別にご用意いただきました。
プチサイズで3種類。特産シソ巻き入り、キノコの炊き込みご飯、そしてシンプルな塩にぎり。ご飯好きの方たちからは、塩にぎりが一番美味しかったとか。

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また、日本酒は「一ノ蔵」の特別純米酒「ふゆみずたんぼ」。これも大崎市田尻伸萌地区で生産された有機のササニシキで仕込まれたものです。

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「ふゆみずたんぼ広め隊」の皆さま(あと4人いらっしゃいます)


生きものの賑わいに祝福されたフォーラムでした。さあ、皆さん、これからが始まりです。

http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=LWyEanRiWt0
マガンの朝の飛び立ち(動画、2011年10月26日)

次のイベントは11月14日、仙台のロイヤルパークホテルで開かれる「Rebirth東北フードプロジェクト」です。三菱地所さんが主催されるもので、東京丸の内から5人のトップシェフが宮城の食材で腕をふるいます。「銀座寿司幸」の主人・杉山衛さんが、このふゆみずたんぼササニシキをどうアレンジしてくださるか!楽しみです。

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【キックオフフォーラム新聞等記事掲載】

・毎日新聞(10/28)
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20111028ddlk04020085000c.html

・河北新報(10/29)
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/10/20111029t11031.htm

→47NEWSにも転載(10/29)
http://www.47news.jp/localnews/miyagi/2011/10/post_20111029124854.html

風見先生(宮城大学)がブログでフォーラムをレポート
http://shozokazami.jugem.jp/?eid=46

絵本作家、葉祥明さんのオフィシャルブログでは絵本制作過程の取材紀行として掲載
http://blog.yohshomei-netshop.com/?day=20111031

Writing: owadajunko

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