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2012年05月15日

有機野菜塾&貸し菜園「しもさと桜ファーム」オープン(埼玉県小川町下里)

これまでに5年ほど、成城学園前駅にある「アグリス成城」にて、野菜づくりをしてきましたが、今年からはちょっと遠い(家から車で90分)ですが、埼玉県小川町下里のNPO法人霜里学校が主催する「有機野菜塾」と貸し菜園に参加し、野菜づくりを続けることにしました。

菜園は、木造の小学校(下里分校)の隣で、「霜里農場」の一角にあります。この分校が廃校になり、地域の人たちが自分たちで活用していきたいと考え、年末年始に3回にわたる勉強会を開きました。そこでグループに分かれて活用のアイディアを検討した結果、まとめられた企画の一つが有機野菜塾&貸し菜園でした。

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塾長は金子美登さん。1971年から有機農業を続けている日本の有機農家の第一人者。そして、講師を務めるのは石川宗郎さん、有井佑希さんという30代の若手。二人とも金子さんの元研修生で、下里地区で新規就農しています。

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石川さんは、1972年、横浜生まれ。1996年、栃木県那須のアジア学院に学び、卒業後はアジアの農村に憧れて、「砂糖の島」フィリピン・ネグロス島に渡りました。同島でNGOスタッフとして、「金を儲けるため」ではなく「家族が食べていくため」の有機自給農場の立ち上げに十年以上携わってこられました。現在は霜里農場で、金子さんや研修生達と畑を耕す毎日です。野菜に囲まれ、三人のお嬢さんもいつも霜里農場内を走り回っています。石川さんの仕事は丁寧で、いつも感心します。

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踏み込み温床と、苗について説明する石川さん


有井さんは、山口県出身。大学で環境問題・国際問題を学び、その解決の糸口として有機農業の世界に魅了され、霜里農場の門戸を叩きました。他の農場を含め3年の農業研修を経て、昨年から小川町で新規就農されました。何しろ明るくて、いつも元気です。

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クワさばきもあざやかな有井さん


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私がなぜこの有機野菜塾に通い、菜園を借りて野菜作りをしようと思ったのか、それは次の5つの理由があります。

1.金子美登さんが手塩にかけてつくってきた土で野菜づくり

有機農業の世界では土づくりに5年とも10年とも言われているほど、美味しい野菜づくりに土づくりが欠かせません。この菜園では、これまで「霜里農場」として7年ほど野菜が栽培されてきた場所をお借りしますので、最初からふかふかの豊かな土で野菜作りをすることができます。

2.霜里農場の有機の苗や種

一般の貸し菜園では、苗や種は必ずしも有機ではありません。また、園芸店やホームセンターで販売している種や苗は国産、地産、在来種も少なく、まして有機のものはほとんど手に入りません。この菜園で植えるのは「霜里農場」や有機農家のお仲間の方々が種取りした種や、それから育てた苗が中心です。つまり種や苗から有機なんです!“適地適作”という言葉があるように、そこの土や気候に適した種や苗を植えることが美味しい野菜づくりのコツだそうです。

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有井さんが育てた苗を中心に


3.うぐいすやひばりがさえずる美しい農村・木造校舎

埼玉県小川町下里は、都心から50余km、車で1時間ほどのところにあります。菜園の隣は木造の下里分校です。校庭には遊具や桜の木があって、すぐそばを槻川が流れています。校庭の桜は4月に報道ステーションで放映がされた100年桜です。懐かしさ満点の雰囲気で野菜づくりを楽しむことができるのです。

4.初心者でも安心。親切・丁寧な指導

野菜作りの指導は石川宗郎さんと、有井佑希さんです。石川さんは霜里農場の若手リーダーとして、また、有井さんは昨年小川町に農地を借りて野菜作りを始めました。次代を担う若手有機農業者の方たちと一緒に「有機野菜塾」で毎月学ぶことができるのです。また、教科書は金子さんの最新ご著書『野菜づくり大事典』です。その編集者の方も塾に通っていらっしゃいます!

5.農村の暮らしの知恵と技も学ぶ

塾のプログラムは、野菜づくりだけでなく、腐葉土、もみ殻燻炭、踏み込み温床、漬物、味噌づくりなども行う内容になっています。農村の暮らしの知恵と技の一端も学ぶことができるのです。それも魅力的だと思いました。

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初回の5月13日は晴天に恵まれ、約30人が参加しました。塾では金子さんのお話しに始まり、霜里農場でクワの使い方などを実習しました。

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金子さん自ら有機の技を伝授。トマトの苗の下に2本ニラを敷く


お昼は下里分校の桜の木の下で、釜で炊いた金子さんのコシヒカリ、豚汁、野菜のサラダ、農家の安藤さんの蕗の煮ものなど。こういう食事が贅沢だとつくづく思います。

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金子さんの作られたお米、野菜が食材という贅沢!


午後はいよいよ菜園で畝づくりです。まずは紐を渡してそれにそってクワで10センチほど掘り、そこに堆肥を入れます。続いて畝を立てます。3列つくりました。今回植えた苗は、固定種や在来種を中心に、賀茂ナス、緑ナス、加工用トマト、ピーマン、ズッキーニなどです。種でオクラやトウモロコシも。オクラは八丈島でネリを呼ばれている丸オクラです。

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牛や鶏の鳴き声、空にはヒバリ、槻川のせせらぎをBGMに、3×5mの畑で土に触れる数時間。お天気にも恵まれ、実に幸せな一日でした。

塾長の金子さん、講師の石川さん、有井さん、事務局長の安藤さん、区長の皆さん、お世話になりました。

有機農業を広め、私たち市民の農力を高め、耕作放棄地の無い美しい村をつくる取り組みに参加できて、感謝です。

Writing: owadajunko

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