TOP » ビジネスLOHAS » 企業研究

2008年03月30日

大阪の新名所 梅田の真ん中に「新・里山」出現!

昨年11月に大阪に行く機会がありましたので、「大阪らしいところに連れて行って欲しい」と知人にお願いいしたところ、通天閣界隈に案内してくださいました。大阪らしい、おもいっきり派手な看板にネオンがともり、通りにはクシカツ屋さんが軒を連ねて大いに賑わっていました。碁や将棋の会所もあって、まるで異国に来たような楽しさでした。

P1016392.JPG

そして、その後、仙台での講演会でご一緒した積水ハウスの環境部長乾さんから、大阪梅田の本社に里山を作りました、お米や野菜を作って、色々な鳥や蝶が来ています。とお聞きして、ぜひ行きたいと思っていました。だって、梅田といえば、大阪のまちの真ん中。ビルしかないと思っていましたから。3月中旬に大阪で講演がありましたので、念願の里山訪問が実現したというわけです。

大阪在住の方でもまだまだ知らない人がいるようですが、大阪の新名所といえば、今やこの「新・里山」はそのひとつでしょう。「梅田スカイビル」という、ツインタワーを一番上のフロアーがつながっている目立つビルの足もとに、田んぼや畑のある里山が出現したのです。外国人観光客が写真を撮っていましたよ。日本の原風景ですから。里山は。外国人観光客の観光名所になる日も近い!?

画像 020.jpg
8,000㎡の里山 (写真:積水ハウス)

CSR室長の楠さん、この新・里山プロジェクトのリーダーでハートフル生活研究所の畑さんと、プロジェクトメンバーで環境部の佐々木さんに案内していただきました。畑さんは、研究所のある京都の自宅近くに田畑を借りて、お米や野菜をお子さんと一緒に育て、自給自足しているほどの本格派です。

ビルの北側に広がる8,000㎡の公開空地で、以前はフラワーガーデンになっていたものを、2006年7月に8,000万円をかけて里山化しました。

そこには、3枚の棚田、お茶の木に囲まれた畑、蝶が来るエリア、竹や雑木林、水辺もあります。これが大阪のど真ん中ですか!? びっくりです。

今ではすっかりオフィスで働く人たちには憩いの場として愛され、暖かい晴れた日にはお昼休みなど、お弁当を持ってくる人も大勢いるそうで。


◆ 夏はカエルの合唱。冬は渡り鳥が飛来

もちろん、農薬や化学肥料は使いません。土は京都の休耕田から譲りうけたものだそうで
元々、土が豊かだったのかもしれません。春になると、ナズナやフキノトウ、つくしも出てくるといいます。落ち葉を堆肥にし、雑草も抜いたものを緑肥として土にすきこんで活用しています。

P1016644.JPG
落ち葉や枯れ枝を堆肥に

畑のまわりにはお茶の木が植わっていますが、今年は新芽を焙じてほうじ茶を作る計画もあるそうで。

P1016659.JPG
畑には、お茶、ブロッコリー、たまねぎ・・・

また、竹のエリアもありますが、あと何年かすると竹の子も出てくるかもしれないと。そして、竹は定期的に伐採をして柵などに使うといいます。畑さん曰く「里山は昔のホームセンター。柵や竹竿、薪など何でも揃っていますよ!」

田んぼもありますので、夏の夜はカエルの合唱が、秋はエンマコウロギやカンタンなど虫の合唱を聞くことができるそうです。

ちょうど、水を抜いている田んぼには、すずめのてっぽうが自生していました。あぜにはナズナや仏の座が、小さな花をつけています。

P1016653.JPG
すずめのてっぽう

satoyama1.JPG
あぜに咲いていた日本たんぽぽ

最近、この雑草というか野草のことが、なんだか気になって仕方ありません。
多分昨年の3月中旬、千葉の「くりもと地球村」で見た野草の花畑の光景が忘れられないからかもしれません。くりもとの佐藤さんが、「野草力の酵素や微生物が野菜力につながる。それを、従来の農薬や化学肥料を使う“化学農産”に対し“緑化農産”という。」と話してくれたことを思い出しました。

※ くりもと地球村
http://www.owadajunko.com/archives/2007/05/post_55.html


◆ オフィスに働く人たち200人以上がボランティア活動に参加

さて、このビルには積水ハウスさんをはじめ、製薬会社の本社などもあり、約8,000人の人が働いているそうなのですが、その人たちが参加する「新梅田シティ里山くらぶ」という活動があります。200人以上がボランティアに登録し、月に一回、野菜を植えたり、収穫したりと活動しています。これまで、農的活動に参加したこともなかった都会で働くオフィスワーカーの方たちが、わざわざ郊外に行かずとも、その気になれば毎日でも自然に触れる場ができたというわけです。

里山P1010686.JPG
社員の家族も参加 (写真:積水ハウス)

以前は、虫が怖かったという女性も今では、全然平気になった。鳥の声が聞こえるようになったと言います。
五感を開いていなければ、鳥がさえずっていても鳥の声は入ってきませんし、野草が可憐な花をつけていても目にも入りませんからね。


◆ 地元の小学生がお米づくりに参加

そして、地元の小学生もおコメ作りにやってきます。1粒の種籾(たねもみ)に始まり、田植え、除草、稲刈り、稲架け(はさかけ)、脱穀(だっこく)籾摺り(もみすり)という一連の作業をすべて機械を使わず昔ながらの方法で行ったというのです。真夏の除草作業も生徒自身が鎌を使って、2回行ったというから本格的です。やはり農的体験も、オーセンティック(本格・本物)がポイントですね。

畑さん曰く「メディアに取り上げられたり、他社の人から褒められるのも嬉しいですが、何より嬉しいのは、色々な鳥や蝶や虫が来てくれること。それは、生き物が合格点をくれたということですから。」という言葉が印象的でした。このようなシンボルプロジェクトには畑さんのようなシンボル社員の存在が欠かせません。

ぜひ大阪に行く機会があったら、お出かけになってみてください。入場料もいりません。365日、いつでも誰でもご覧になれます。 (2008年3月26日訪問)

Writing: owadajunko

↑ページの先頭へ

関連書籍・メディア

お問い合わせ

企業・個人からの個別相談・コンサルティングを承っています。お問い合わせは下記フォームからお願いいたします。


ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」