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2008年08月05日

台湾で見つけたショッピングセンターの未来形

◆ 大いに期待を超えた「国立伝統芸術センター」

台北市内でのLOHASシンポジウムの翌日は市内見学というスケジュールです。「故宮博物館」は午後の予定に入っていて、午前は台北から車で約1時間、宜蘭(イーラン)県に行くというのです。
2006年、北宜高速道路の雪山トンネルが開通し、台北市内と30分で結ばれるようになりました。人口約46万人の県で、三方を山に囲まれた蘭陽平野を中心として形成され、肥沃な土壌が広がり農業が盛んです。長ネギ、金柑、合鴨などが特産品だそうです。

最初の訪問先は、宜蘭(イーラン)の「国立伝統芸術センター」(National Center for Traditional Arts)でした。名前を聞いただけでは、国立の機関で、伝統芸術作品を展示しているところとイメージしますが、土曜の午前、夏休みであるにせよ、予想外に多くの家族連れで賑わっています。台湾の人は、芸術作品を見るのが好きなんだろうか・・・。

最初に展示室に案内されましたが、伝統的な技術を使った現代の作家による作品が並んでいます。陶芸、ガラス工芸、工芸・・・ 
そして、こうした工芸を体験できる施設もあります。


◆ これぞ、ショッピングセンターの未来形!!

展示室を出て、歩いていくと、何やらお祭りのような音楽が聞こえてきました。音楽に誘われてそちらの方に行くと、両サイドに楽しげなお店が並ぶエリアが出現しました。

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台湾の各地域の伝統的生活文化や技術を使った様々な物産のお店が並んでいるではありませんか。手作り石鹸、竹製品、ヒスイなどを使ったアクセサリー、服飾雑貨、玩具、インテリア雑貨、食品・・・ いずれも台湾各地に伝わる伝統技術を活かした物産で、しかも皆パッケージやデザインが洗練されているのです。そして職人さんが店内にいて実演している店も少なくありません。いずれのお店も賑わっています。

shop area.JPG

例えば竹製品のお店に入って聞いてみると「台中の地域に生えている孟宗竹を使っています。」とちゃんと国産です。布袋に入った箸置き付きの箸をお土産に買いました。

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さしずめ日本で言うなら百貨店の物産展が常設している感じです。各地から食品や伝統工芸・民芸品が並び、職人さんが実演する。まさにあの光景です。そして、なぜこのような賑わいがある商業集積を国立の施設が行うことができているのか・・・

実は、今回のロハスシンポジウムを企画した7-ELEVENが属する「統一グループ」が運営委託を受けているからなのです。それ以前は赤字施設だったものを、統一グループがコンペで運営委託権を得て、大幅にソフト面、MD面をテコ入れした結果なのです。すでに3年目になるそうですが、もちろん黒字に転換したといいます。

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職人さんが店内で実演

奥には、飲食街もあります。フードコート、レストランなどがあり、500円~3,000円位の幅で食事をすることができます。

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そして、私は思い至ったのです。この2年、私が探していた商業施設(SC=ショッピングセンター)の未来形がここにあったと。アメリカのライフスタイルセンターも悪くはありませんが、扱っているものは国内のどこでも買えるブランドの服飾品、食品、家具・インテリアが中心です。各地域で伝承されてきた特産品を原料に、手の技を活かした商品が並ぶのは、せいぜいそのSCが立地する州の特産品のお店くらいです。

※ライフスタイルセンター(ラスベガス郊外)
http://www.owadajunko.com/archives/2007/08/post_61.html

それが、全台湾の受け継ぎたい物産や技が、現代的な表現力を伴って実演販売されているのです。わざわざアメリカに行かずとも、隣の台湾にお手本があったというわけです。ついに巡り合った!!と大感激でした。時間が無かったので、石鹸と竹箸しか買えず、心残りです・・・(やっぱり、買い物好きなんですね。ブランド品は最近は欲しく無いのですが。)

なお、敷地内には宿泊施設「福泰冬山厝」もあります。後でWEBサイトで調べましたら、かなり良さそうです。立地は冬山川の河口に位置し、川から引きこんだ池を客室が囲むレイアウトになっています。アメリカ・エール大学の黄声遠建築士が設計。木の障子、窓、高い天井、大理石の床、赤いレンガに黒い瓦などが使われ、昔の台湾建築の特色を活かしつつ、快適な空間に仕上がっているようです。

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次回は、ぜひ傳藝センターのショップを端から端までしっかり見て、体験教室にも参加し、そしてこの「冬山暦」に泊まりたいものです!

※冬山暦
http://yl.forte-hotel.net/jp/about.html

※傳藝センター
統一グループによる紹介サイト http://art.pcsc.com.tw/guide.php
センター公式サイト(日本語) http://www.ncfta.gov.tw/ncfta_jp/main/index.aspx

Writing: owadajunko

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