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2007年09月11日

【報告】パネルディスカッション「あなたにもできる!こだわりを極め、社会性と収益性を両立する美しいビジネス」

2007年9月8はNPOソーシャル・イノベーション・ジャパン(SIJ)主催の第三回ソーシャル・アントレプレナーギャザリングの分科会でパネルディスカッションを行いました。

登壇いただいたのはLBA法人会員でもある三人の経営者、アロマテラピー・ハーブ「生活の木」社長重永忠さん、自然派リフォーム「OKUTA」社長山本拓己さん、そして長野のファッションブランド「ECOMACO」代表でデザイナーの岡正子さんでした。

この三社は規模はそれほど大きくありませんし、テレビCMもしないので、あまり知られてはいません。
けれど、経営者自らがLOHASの価値観を持ち、その価値観に基づいて事業を行い、それぞれのこだわりを追求し、収益性と社会を両立させています。

事業を通じて、どんな社会的課題や環境問題に取り組んできたのか。そのこだわり、ミッションステートメントの浸透、ステークホルダーとの信頼関係、そして企業の成長について、ギュッと凝縮してお話しいただきました。キャリアヒストリーもご披露いただきましたが、会場が大いに笑いの渦にまきこまれました。

OKUTAについては以前レポートいたしましたが、2002年に塩化ビニールなど化学建材の使用を止め、全て自然素材に切り替えて5年。客単価が10倍に、利益率も向上したといいます。
http://www.owadajunko.com/archives/2006/06/okuta1450.html

ECOMACOについては、消費者の視点でレポートをしています。
http://www.owadajunko.com/archives/2007/05/post_56.html
トウモロコシのでんぷんからできた繊維で、これだけ美しいファッションは世界にも類をみないということで、10月のシンガポールをはじめ世界各地でショーが予定されているとか。国内では3店舗ですが、世界に通用するファッションです。

◆ハーブ・アロマテラピーを広めて30年「生活の木」

そして「生活の木」。同社について少しご紹介いたしましょう。

2007年8月2日、明治神宮の参集殿にて、「生活の木」ハーバルライフ30周年の式典が執り行われました。300人近いお客様や取引先など関係者が一堂に介し、お祝いをしました。

ハーブ・アロマテラピーの販売を行う「生活の木」の本店は、明治通りと表参道の交差点の近くにあります。1955年の開業から三代目の社長を務める重永忠さんがハーブを扱う事業を始めて30年、欧米生まれのハーブやアロマテラピーはすっかり日本人の生活の中に定着しました。

現在、店舗数は直営店70、提携店70、売上も50億円を超すまでになりました。毎年10店舗をオープンし、急成長ではなく、“豊かな成長”を続けています。主な取り扱い商品は、アロマテラピーオイル、ハーブティー、スキンケア、手作り化粧品の素材、そしてアーユルヴェーダなどです。

「生活の木」の経営理念は、自然・健康・楽しさの提供です。会社と経営者である自分の考えが一致しているとも重永さんは言います。そして、自然で、健康で、楽しさに満ちた生活を送ることができるよう、ライフスタイル(生活様式)ではなく、“ライフウエア”という言葉で、ハーブとアロマテラピーを取り入れた生き方、暮らしの提案をしてきました。

同社には4つのこだわりがあります。一つ目は、新しいものを創ることが好きということです。まず文化を創ることから発想します。自然の恵みを活用する文化。化粧品を家庭で手作りする文化。香りのある暮らしの文化など。次いで場を作ります。学びの場としての教室や、サービスを行うリゾートホテル。ハーブを
育て楽しむハーブガーデンやレストランなど。そして、最後に商品が来て、それを暮らしの中で使いこなすという順番です。

◆三社に共通すること

経営者自らが会社のミッション、理念を明確にし、ブランドのこだわりを確立し守りつづけることが肝心。また、売上を上げることを目標にするのではなく、物・サービス自体の質の向上、関係者(ステークホルダー)との信頼の醸成、幸せ(心の豊かさ)など、質の向上を追求されています。

この三名は、必ずしも最初から社会の問題を改善しようと事業を始めたわけではありません。が、何かのきっかけがあって、途中から進路変更をしています。そして本業そのものが社会の問題を解決しようとするものであり、自然の恵みを活かし、心の豊かさを深めるものになっています。

◆印象的な発言

岡さん「小学校4年生のとき、将来はファッションデザイナーになりたいって作文に書きました。そして20代、30代と数々のファッションコンテストで賞をいただいたり、ユニフォームのデザインをしたり、洋裁学校で生徒に来年はこんなものが流行しますと教える日々でした。でも、10年後にトレンドはどうなるのか、全くわからないわけです。毎年毎年流行を追うことが、つくづく嫌になってしまいました。そんな時であったのがトウモロコシから作ったポリ乳酸という繊維だったのです。自分がやりたかったことは、エコロジーファッションだと、ユニフォームデザインを止めてエコロジー一本でいこうと決意したのでした。」

山本さん「子供に恥じない仕事をしたい。娘はマイミクで、その友達も私のブログを読んでいます。娘やその友達に日々自分の行動や発言を公開しているのです。父親の姿を子ども達がいつも見ているのです。そんな子ども達にお父さんなんであんなことしたの?と言われない仕事をしたいのです。それがサステナビリティだと思うのです。」

重永さん「うちのスタッフは今では400人を超えて、95%が女性です。みんなハーブやアロマテラピーが好きで集まってきた人たちです。自分たちが好きだと思うモノをとことん楽しもうと仕事をしています。ですので従業員満足が先で、後から顧客満足が付いてくるという感じです。」

大和田から
「皆さんはどんな未来を創りたいですか?
冒頭でも触れましたが、地球温暖化の問題はもはや待ったなしです。実は、これから10年後ぐらいまでに二酸化炭素排出を抑制する対策を打たないと、人類は逆戻りできない地点を突破してしまうといわれています。カーボンニュートラルとか、低炭素社会とか、こんなシナリオで達成することができると、ビジュアライズして示されることも多くなりました。
ライフスタイル、ワークスタイル、ビジネススタイルを全てCO2を削減する、あるいはオフセットするという視点で、そしてLOHASのコンセプトで見直してみませんか。どんな未来を創るのか、それは私たち一人ひとりにかかっているのです」

Writing: owadajunko

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